SEOはオワコンなのか?AI時代でも成果を出す最新戦略

2026.04.20

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SEOはオワコンなのか?AI時代でも成果を出す最新戦略

はじめに

生成AIの台頭やゼロクリック検索の増加により、「SEOはオワコンではないか」という声が広がっています。もしSEOの価値が本当に失われているなら、これまで積み上げてきたコンテンツ資産や検索経由の集客は根本から見直す必要が出てきます。

しかし、AI経由のコンバージョンはまだごくわずかにとどまっており、大規模言語モデル(LLM)自体が従来の検索基盤に依存している実態があります。SEOはオワコンどころか、AI時代の可視性を支える土台として機能し続けています。本記事では、オワコン説が生まれた背景を整理したうえで、今後の実践戦略までを具体的なデータとともに解説します。

「SEOオワコン」説の背景

「SEOオワコン」説の背景

ゼロクリック検索の拡大と影響

「SEOはオワコン」と語られる理由のひとつが、検索結果からウェブサイトへクリックされない「ゼロクリック検索」の拡大です。2024年時点で、米国のGoogle検索のおよそ60%が外部サイトへのクリックなしに終わっています。モバイル端末ではこの傾向がさらに顕著で、検索の75%以上がゼロクリックです(参照*1)。

検索結果ページ上で直接的な回答を提供する仕組みが強化されたことで、利用者が個別のウェブページを訪問する動機が薄れています。AI駆動の検索エンジンは簡潔で統合された回答を表示するため、利用者が検索結果を下にスクロールして個別のウェブページを訪問する動機が薄れています(参照*2)。

こうした状況は、従来のSEOが前提としていた「検索上位に表示されればクリックされる」という構図を揺るがしています。オーガニック検索からの流入が減る環境では、単に順位を上げるだけでは十分な成果を得られないケースが増えていると考えられます。

生成AI検索への利用シフト

もうひとつの根拠として、利用者が検索エンジンから対話型AIツールへ移行しつつあるという動きが挙げられます。「これからはSEOではなく大規模言語モデル最適化(LLMO)だ」という声が上がる理由は大きく2つあります。1つはそもそも検索エンジンの利用が減り対話型AIへ移行する流れ、もう1つはGoogleの検索結果に表示される「AIによる概要」(AI Overviews)がオーガニック検索流入を減らすゼロクリック問題です(参照*3)。

AI Overviewsの表示は進んでおり、検索結果へのAI生成コンテンツの組み込みが広がっています。実際に、AI OverviewsはGoogle検索の7.6%に表示されるようになっており、検索結果へのAI生成コンテンツの組み込みが進んでいます。さらに2024年のホリデーシーズンには、米国の小売サイトへのAI検索経由の流入が前年比1,300%増加し、そうした流入は滞在時間が長く直帰率も23%低いという結果が出ています(参照*1)。

利用者の検索行動そのものが変わりつつある点は否定できません。ただし、AI検索経由の流入が質の高いトラフィックをもたらしている事実は、SEOの枠組みが完全に無効化されたわけではないことも同時に示しています。

SEOが今も有効である根拠

SEOが今も有効である根拠

AI経由コンバージョンの実態

オワコンかどうかを判断するうえでは、AI経由の成果が実際にどの程度あるかという数字が欠かせません。日本と米国の双方でビジネスを展開する企業群を対象にした調査では、全コンバージョンのうちAI経由が占める割合は、2025年7月時点で日本が0.045%、米国が0.096%でした(参照*3)。

この数字は、AI経由の流入が話題になる一方で、実際の売上や問い合わせにつながる割合はまだごくわずかであることを意味します。現時点で従来の検索エンジン経由の集客を捨ててAI最適化だけに移行するのは、ビジネスの実績データから見ると根拠が乏しい判断といえます。

LLMが依存する従来検索基盤

SEOがオワコンではない理由のひとつは、大規模言語モデル(LLM)自体が従来の検索エンジンの仕組みに依存しているという構造です。多くのLLMは回答の正確性を担保するために、GoogleやBingといった従来の検索エンジンを情報源として活用しています。そのため、検索で上位に表示されるコンテンツ、質の高い被リンク、技術的なSEOは引き続き基盤として機能しており、検索で上位に入ることがLLMでの可視性向上にもつながります(参照*4)。

回答エンジンや生成AIツールが引用する情報のもとになっている点でも、SEOは基盤として位置づけられます。適切に最適化されたコンテンツがあることで、検索エンジンはそのページの内容、対象読者、表示する価値を正しく理解できます(参照*5)。

つまり、従来のSEOが弱ければ、生成AIに引用されるコンテンツ自体が存在しなくなります。AI時代においてもSEOは、あらゆる検索体験を下支えする基盤として機能し続けています。

従来型SEOの限界と変化

従来型SEOの限界と変化

キーワード偏重戦略の終焉

SEOそのものがオワコンではないとしても、従来のやり方がそのまま通用するわけではありません。ある識者は「従来型のSEOは2018年には死んでいた」と表現し、タイトルタグやキーワード密度だけで勝てる時代は終わったと述べています。現在の成功には、強いブランド、差別化された商品、そして読者との本質的なつながりが求められます(参照*4)。

生成型の検索エンジンはキーワード密度ではなく、意味的な深さとコンテンツの質を基準に評価します。そのため、キーワードを不自然に詰め込む手法はもはや効果がなく、特定テーマにおける専門性と独自の知見を備えたコンテンツの制作が求められるようになっています(参照*1)。

成果指標の転換

キーワード偏重の終焉とともに、SEOで追うべき成果指標も変わりつつあります。ある専門家は「ブランドへの言及が、新しいキーワード順位だ」と表現しています。自社のブランドがどこで、どれくらいの頻度で取り上げられているかが、信頼性の高い文脈において以前にも増して大きな意味を持つようになっています(参照*4)。

従来は特定キーワードでの検索順位やオーガニック流入数が主な指標でした。しかし、ゼロクリック検索やAI生成回答が増える環境では、順位だけを追いかけても成果の全体像が見えなくなります。ブランドの言及数や引用頻度など、検索結果の外側にまで目を向けた指標設計が必要になっています。

GEO・AEOとの違いと関係

GEO・AEOとの違いと関係

SEO・AEO・GEOの役割比較

AI時代の検索最適化では、SEOに加えて回答エンジン最適化(Answer Engine Optimization:AEO)と生成エンジン最適化(Generative Engine Optimization:GEO)という概念が登場しています。SEOはコンテンツを検索エンジン上に「存在」させる役割、AEOはそのコンテンツを回答として素早く「表面化」させる役割、GEOはAI生成の回答に「知的に引用」される役割を担います。この3つを組み合わせることで、従来の検索結果、直接回答、AI生成コンテンツという、利用者が実際に検索する3つの場面すべてで可視性を確保できます(参照*5)。

従来の検索結果からAI生成回答へと検索体験が多層化するなかで、従来のSEO指標だけでは内容の影響力を測れなくなっています。生成型検索エンジンへの移行により、合成された回答に対するコンテンツの影響度を理解し、測定し、最適化する必要が生じています(参照*6)。

GEOやAEOは、SEOを置き換えるものではなく、SEOの土台の上に成り立つ拡張領域です。まずSEOでコンテンツの基盤を固め、そのうえでAEO・GEOの観点を加えるという順序が、現時点では合理的な考え方といえます。

AI別の引用パターンの差異

生成AIごとに、どのサイトを情報源として引用するかには大きな違いがあります。ChatGPTは少数の大規模サイトを強く優遇する傾向が見られます。3,000万件のAI引用を分析した調査では、ChatGPTが引用する上位ソースのうちおよそ48%をWikipediaが占め、2位のRedditが約11%で大きく離れています。そのあとにはForbes、TechRadar、NerdWalletなど著名メディアが続いており、事実確認にはWikipedia、コミュニティの議論にはRedditという使い分けが見て取れます(参照*7)。

一方、Perplexityは常に出典を表示する設計で、1つの回答あたり4〜5件の引用を提示します。引用先はコミュニティサイトやニッチな専門サイトが多く、上位10ソースの46.7%をRedditが占めています。ChatGPTと比べると、権威ある大手サイトへの集中度が低く、より多様な情報源から引用する傾向があります。

こうした差異は、どのAIツールの利用者を想定するかによって、最適化の方針が変わることを示しています。大手百科事典的な網羅性を重視すべきか、特定コミュニティでの存在感を高めるべきかは、対象とするAIツールに応じて判断する必要があります。

AI時代に成果を出す実践戦略

AI時代に成果を出す実践戦略

構造化データとブランド明確化

AI時代のSEOで最初に取り組むべきは、構造化データの整備とブランドの明確化です。ブランドへの言及、スキーママークアップ(検索エンジン向けのデータ構造)、そしてエンティティ(実体情報)の明確化は、LLMが検索結果から情報を取得する環境でも欠かせない要素です。コンテンツが明確な構造を持っていれば、AIに引用されたり検索結果の目立つ位置に表示されたりする可能性が高まります(参照*4)。

コンテンツの構造としては、冒頭の数文で問いに対する回答を明確に示し、箇条書きや見出し、表を使って読みやすく整理することが効果的です。構造化データとスキーママークアップにより、AIがコンテンツを理解しやすくなります(参照*2)。

技術面での整備は地味に見えますが、AIが情報を正しく読み取るための前提条件です。構造が曖昧なコンテンツは、どれだけ内容が優れていても引用対象から外れるリスクがあります。

独自性のあるコンテンツ制作

構造化データの整備と並行して取り組むべきは、AIでは再現できない独自のコンテンツ制作です。ある専門家は、LLMに引用されるためだけにキーワードを詰め込んだ大量のコンテンツを量産する企業が増えていると指摘し、そうしたやり方は長続きしないと述べています。代わりに推奨されるのは、ほかのサイトが参照せざるを得ない独自調査を行い、新しいデータや知見を加えて一次情報の発信源となることです(参照*4)。

従来のSEOを捨てるのではなく、技術面の卓越性、質の高いコンテンツ、権威性の構築を強化することが推奨されています。目指すべきは単にページを公開することではなく、包括的で権威があり、体系的に整理された企業の知識基盤を築くことです(参照*7)。

AIが容易に生成できるような一般的な解説は差別化の要素になりにくい時代です。自社ならではのデータ、現場の知見、実験結果など、他者が模倣しにくい情報を軸にすることが成果につながります。

マルチプラットフォーム展開

自社サイト内のSEO最適化だけでは、AI時代の可視性を十分に確保できません。利用者はTikTok、Instagram、Reddit、TripAdvisor、Stack Overflowなどを目的に応じて使い分けており、「優れたSEO担当者は読者がすでにいる場所に行く」と指摘されています。SNSから得られる知見をもとに検索向けコンテンツを改善し、複数のチャネル間で成果を相互に高める循環をつくることが有効です(参照*4)。

生成AIが信頼性を判断するシグナルの多くは、自社が直接管理するサイトの外側に存在します。そのため、自社サイトだけでなく外部への投資も欠かせません(参照*7)。

自社サイトの最適化を起点としつつ、外部プラットフォームでの言及や評判を意識的に育てることで、検索エンジンと生成AIの両方から信頼される存在に近づくことができます。

失敗例と注意点

失敗例と注意点

AI最適化への過剰投資リスク

AI時代の新しい戦略に意識が向くあまり、過剰な投資に走るリスクがあります。これまで手掛けてきた従来のSEOはもうオワコンで、今すぐAI最適化に予算を全振りしなければ生き残れないかのような言説には、慎重な見方が必要です(参照*3)。

過剰な最適化にはリスクが伴う可能性があります。GEO施策における段階的な改善プロセスを分析した研究では、最初の5回の反復で各指標が大きく改善した後、性能が横ばいになるか低下する「収穫逓減」のパターンが確認されています(参照*6)。

新しい施策は段階的に試し、従来のSEO基盤を維持しながら効果を測定する姿勢が、結果的に安定した成果をもたらします。予算の偏りすぎはどちらの方向でも事業リスクを高めます。

古いコンテンツ放置の弊害

AI最適化に目が行きがちな一方で、見落とされやすいのが既存コンテンツの管理です。古い記事を定期的に見直さないと、訪問者に誤った情報を表示したり、同じテーマの記事が複数存在することでキーワードの共食い(カニバリゼーション)を起こし、自サイトの順位を下げたりするリスクがあります。定期的にコンテンツを点検し、更新するか、統合するか、削除するかを判断することが求められます(参照*8)。

新規コンテンツの制作だけでなく、既存コンテンツを最新の状態に保つことも、検索エンジンとAIの両方から信頼されるために不可欠な作業です。放置されたページが増えるほど、サイト全体の品質評価にも悪影響を及ぼす可能性があります。

おわりに

SEOがオワコンかどうかという問いに対しては、AI経由のコンバージョンがまだ0.1%未満にとどまる現実や、LLM自体が従来の検索基盤を情報源として利用している構造が、明確な答えを示しています。SEOは終わったのではなく、求められる中身が変わりつつあるのです。

キーワード偏重から脱却し、構造化データの整備、独自性の高いコンテンツ制作、マルチプラットフォームでの存在感の構築を組み合わせることが、AI時代に成果を出すための実践的な道筋です。従来のSEOを捨てるのではなく、その基盤を強化しながら新しい領域へ拡張していく視点で、自社の施策を見直してみてください。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、82万部(2025年3月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))

参照

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