ゲーム開発が激変!Robloxプロシージャルモデルで作業自動化革命

2026.05.20

WorkWonders

ゲーム開発が激変!Robloxプロシージャルモデルで作業自動化革命

はじめに

Robloxでゲームを作るとき、同じような3Dオブジェクトを何度も手作業で配置・調整する場面は少なくありません。パラメータを1つ変えるだけで階段の段数や建物の高さが自動で再生成される仕組みがあれば、こうした繰り返し作業を大幅に減らせます。これは、ゲーム開発に限らず、コンテンツ制作全般で言える話です。「作業量」ではなく「仕組み」に投資することで、同じ時間でできることの幅が変わる。

その仕組みが「プロシージャルモデル」です。コードやAIの力でパラメータ駆動型の3Dオブジェクトを生成でき、Roblox Studioで正式にリリースされています。本記事では、プロシージャルモデルの基本から生成フロー、メリットや今後の展望までを順に解説します。生成AIをWebメディアや業務フローに組み込んできた立場から見ると、この仕組みはゲーム開発に留まらず、「AIと人間の協働設計」の一つの答えとして参考になります。

プロシージャルモデルとは

プロシージャルモデルとは

パラメータ駆動型3D生成の基本概念

プロシージャルモデルは、コードを使って3Dオブジェクトを組み立てる、パラメータ駆動型のモデルです。手動で中身を編集するのではなく、Generatorモジュールと呼ばれるスクリプトと、一連の属性(アトリビュート)を通じて構造を定義します。属性が変わったりモデルのサイズが変更されたりすると、Generatorが自動で実行されてモデルを更新する仕組みです(参照*1)。

たとえば「Spacing」や「Material」といった属性を持つプロシージャルモデルの場合、その値を書き換えるだけでGeneratorモジュールのLuauスクリプトが走り、見た目や構造が即座に再構築されます(参照*2)。つまり、開発者は数値を調整するだけで何通りものバリエーションを試すことができ、1から作り直す手間がなくなります。これはプロンプトを変えるだけでAIの出力が変わる構造と本質的に近い。「何を変えれば何が変わるか」が明確に設計されているほど、試行錯誤のコストが下がります。

従来のモデル編集との違い

プロシージャルモデルでは、パラメータの変更だけでモデル全体が非破壊的に更新されます。従来のRoblox Studioでは、3Dモデルの形状を変えたいとき、パーツの位置やサイズを1つずつ手動で修正する必要がありました。たとえばらせん階段の段数を増やすには、パーツの追加・回転・配置をすべて手作業で行わなければなりません。

プロシージャルモデルでは、StepSizeのようなパラメータの値を変えるだけで、階段が自動的に再生成されます(参照*1)。このように手動の編集と異なり、パラメータの変更だけでモデル全体が非破壊的に更新されるため、試行錯誤のスピードが大きく向上します。プロシージャルモデルはRoblox Studioで正式にリリースされており、カスタマイズ可能な属性に自動で適応する新しいインスタンスの種類として利用できます(参照*3)。

注目される背景と課題

注目される背景と課題

繰り返し作業の非効率さ

プロシージャルモデルは、類似オブジェクトの量産に伴う非効率を減らす手段として注目されています。ゲーム開発では、類似した構造物を大量に配置する場面が頻繁に発生します。柵、階段、壁面パネルなど、形は同じでもサイズや色だけが異なるオブジェクトをその都度手作業で作り直すのは、時間と労力の大きな負担です。私がWebメディア運営でコンテンツを量産してきた経験に照らしても、「似たものを繰り返し作る工程」は最も自動化の恩恵を受けやすい領域です。

プロシージャルモデルはこの非効率さを解消する手段として登場しました。パラメータを変えるだけで形状・色・素材が数秒で切り替わるため、繰り返し作業が不要になります。/generate_procedural_modelコマンドを使えば、パラメータを調整するだけでジオメトリ、色、マテリアルを即座に変更できます(参照*4)。手動の修正を最小限に抑えることで、開発者はゲームのデザインやゲームプレイの設計により多くの時間を割けるようになります。

AI時代のゲーム開発ワークフロー

AIツールは、ゲーム開発の「探索と反復」に対して1回の出力だけでは意図を捉えにくいことがあります。ゲーム開発は複数の工程と専門領域にまたがり、探索と反復を絶えず繰り返す作業です。1回のプロンプトで結果を出すだけのAIツールは、クリエイターの意図を的確にくみ取れないことも少なくありません(参照*5)。私自身、ChatGPTやClaudeに文章生成を依頼する場面で同じ問題にぶつかります。「良い記事を書いて」という一発のプロンプトより、目的・読者・主張・禁止事項を分けて与えるほうが、はるかに使える出力が返ってきます。

こうした課題に対し、RobloxはAssistantに改良型のPlanning Modeを導入し、コードやデータモデルを分析したうえで確認の質問を投げかけ、複雑なプロンプトを詳細な行動計画に変換する多段階の共同開発パートナーへと進化させています(参照*5)。プロシージャルモデルはこうしたAI連携の流れと相性がよく、テキスト指示からの3D生成を実用的な精度で実現する基盤となっています。

仕組みと生成フロー

仕組みと生成フロー

GeneratorモジュールとOnGenerate関数

プロシージャルモデルの中核を担うのがOnGenerate関数です。この関数はOnGenerate(params, targetContainer)という形式をとり、開発者自身が定義します。提供されたパラメータに基づいてモデルの中身を生成し、結果を指定のコンテナに書き込む役割を持ちます(参照*1)。

ProceduralModelインスタンスにModuleScriptを紐付けると、属性が変更されるたびに編集時にスクリプトが実行されます。たとえば「Text」という属性を変えると、スクリプトの処理を通じてTextLabelの内容が自動的に切り替わり、開発者がTextLabelを直接操作する必要はありません(参照*6)。

defaultAttributesテーブルに定義された属性は、そのスクリプトをGeneratorとして使うすべてのプロシージャルモデルに自動で適用されます。OnGenerate関数はパラメータが変わるたびに実行され、targetContainerまたはその配下に配置されたインスタンスが出力に追加される仕組みです(参照*7)。

パラメータ変更から再生成までの流れ

プロシージャルモデルでは、SizeプロパティやSpacing・Materialなどの属性が変更されると、紐付けられたGeneratorモジュールが起動し、モデルを再構築します(参照*2)。通常は同じフレーム内で再生成が行われるため、変更結果をほぼリアルタイムに確認できます。

OnGenerate関数はDataModelを直接変更してはならず、結果は必ず渡されたtargetContainerに書き込む必要があります。この制約はエンジンのシステムと正しく連動するために設けられています。また、OnGenerate関数はyield(一時停止)やGeometryServiceのCSG APIなどの待機メソッドを呼ぶことが可能です。parameters:Pause()を挟むことで、フレーム落ちを防ぎながら処理を分割できます(参照*2)。

サンドボックスとセキュリティ

プロシージャルモデルのOnGenerate関数は、DataModelへの直接的な書き込みが禁止されています。出力先は常に渡されたtargetContainerに限定されるため、スクリプトがゲーム全体のデータ構造に意図せず干渉するリスクが抑えられています(参照*2)。

この設計は、Generatorスクリプトの動作範囲をサンドボックス的に隔離する役割を果たしています。生成処理が完了するのはOnGenerateがreturnしたタイミングであり、処理中もPause()を使って明示的に中断点を設けられるため、生成負荷の制御も開発者側でコントロールしやすい構造です。編集時とランタイムの両方で同一の仕組みが動作するため、Studioでの動作確認とゲーム内での挙動に差が生じにくい点も特徴です(参照*1)。

生成方法の種類と使い分け

生成方法の種類と使い分け

手書きコードによる自作

プロシージャルモデルを作る最も基本的な方法は、Generatorモジュールを手書きで記述するやり方です。ModuleScriptの中にOnGenerate関数を定義し、defaultAttributesテーブルで属性を指定することで、自由度の高い生成ロジックを構築できます(参照*7)。

手書きの利点は、生成ロジックを細部まで制御できる点にあります。GeometryServiceのCSG APIのような高度な処理も組み込めるため、複雑な形状やインタラクティブな構造物を正確に作り込みたい場面で有効です。Luauの知識が求められますが、生成の仕組みそのものを理解するうえでも、まず手書きから始めてみる価値があります。業務にAIを導入するときも同様で、「何をAIに任せるか」を決めるには、まず自分でその工程を一度やってみるのが最も確実な方法です。

Assistantコマンドによる自動生成

手書きに加えて、AIアシスタント(Assistant)の/generate_procedural_modelコマンドを使えば、テキストプロンプトや参考画像からプロシージャルモデルを自動で生成できます。属性、スクリプト、ユーティリティをまとめて出力してくれるため、コードを書かずに即座にモデルを作成することが可能です(参照*2)。

生成されたプロシージャルモデルはスケーリングに自動対応し、undo/redo、Team Create、ネットワーク複製、ドラッガーツールなどStudioのエンジン機能と統合されます(参照*8)。このコマンドには24時間あたり50回という専用のリクエスト枠があり、Assistantの通常の日次利用上限とは別に管理されています(参照*9)。

MCP経由の外部AIツール連携

Roblox Studioはモデルコンテキストプロトコル(Model Context Protocol、MCP)をサポートしており、外部のAIツールからプロシージャルモデルを生成する経路も用意されています。MCPにはgenerate_procedural_modelという機能が含まれ、スケーリングや自動適応に対応したカスタムプロシージャルモデルを生成できます(参照*10)。

手書きコードは自由度を重視する場合、Assistantコマンドは素早く試作したい場合、MCP連携は既存のAIワークフローに組み込みたい場合と、それぞれ適した使い方が異なります。どの方法でも最終的にはGeneratorモジュールとOnGenerate関数を中心とした同じ仕組みが動作するため、生成されたモデルの振る舞いに違いはありません。重要なのは、どの方法を選ぶかより、「どの工程を人間が判断し、どこをAIに任せるか」を最初に決めることです。これは生成AIを業務導入する際の設計と全く同じ問いです。

メリットと注意点

メリットと注意点

非破壊編集と再利用性の高さ

プロシージャルモデルの大きな利点は、非破壊編集が可能な点です。パラメータを変えることで再構築されるため、元のモデルを壊さずに何度でも調整をやり直せます。パラメータが変更されるまでは通常のオブジェクトと同じように振る舞うため、パフォーマンスへの影響も抑えられています(参照*1)。

さらに、編集時だけでなくランタイムでも同じシステムが動作するため、Studioとゲーム内で一貫した結果が得られます。パラメータ化されたモデルをCreator Storeで共有することもでき、アセットの柔軟性とカスタマイズ性を保ったまま他の開発者に配布できます(参照*1)。再利用性の高いアセットをチーム間で活用できる点は、共同開発の効率化にも直結します。

既知の制約と回避策

プロシージャルモデルにはいくつかの制約があります。まず、パラメータが変更されるたびにスクリプトが再実行され、Generatedフォルダの中身が上書きされるため、このフォルダに手動で加えた編集は次の更新時にすべて失われます。恒久的な変更を加えたい場合は、パラメータを確定させたうえでGeneratorプロパティをクリアし、結果を通常のモデルとして「焼き付ける」必要があります(参照*3)。

また、Studioの「Join Surfaces」オプションとの相性が悪く、生成時にジョイントが壊れる現象が報告されています(参照*3)。Assistantコマンドによる生成には24時間のローリングウィンドウで50回までという上限があり、固定時刻でリセットされるのではなく、過去24時間のリクエスト数に応じて継続的に更新されます(参照*8)。こうした制約を事前に把握しておくことで、作業中の予期しないトラブルを防ぎやすくなります。生成AIの業務利用でも同じことが言えますが、「便利だが上限がある」「速いが検証が必要」という現実を先に知っておくかどうかで、現場への定着度が大きく変わります。

4D生成や今後のロードマップ

4D生成や今後のロードマップ

4D生成との関係と活用事例

Robloxは、機能を持った動くオブジェクトを生成する「4D生成」にも取り組んでいます。この技術はCubeファウンデーションモデルを基盤とし、スキーマと呼ばれるルールセットを使ってオブジェクトをパーツに分解し、動作を付与する仕組みです。クリエイターが4D生成を有効にしたエクスペリエンスでは、プレイヤーがテキストプロンプトを入力するだけで、走行可能な車のような完全に機能するオブジェクトを生成して操作できます(参照*11)。

早期アクセス期間中にプレイヤーが生成したオブジェクトは16万個を超えました。4D生成を利用したプレイヤーはWish Masterでの平均プレイ時間が64%増加したというデータも報告されています(参照*11)。プロシージャルモデルがパラメータ駆動で3D構造を生成するのに対し、4D生成は動作や機能まで含めた「使えるオブジェクト」を丸ごと作り出す点で、両者は補完的な関係にあります。プレイ時間64%増という数字は、単なる利便性向上ではなく、ユーザー体験の質が変わったことを示しています。AIが生成した成果物が、人間の行動データによって価値を証明されるという流れは、今後あらゆる領域で加速するはずです。

今後追加予定の機能

ロードマップでは、プロシージャルモデルと4D生成の両面でさらなる拡張が示されています。4D生成については、/generateで生成したアセットのホイールメッシュなどを自動で分割し、オブジェクトの種類に応じたスクリプト済みの動作を適用する「Custom Schema and Behavior Library」が2026年半ばに予定されています。加えて、プロシージャルモデル生成のためのEngine APIが提供され、開発者が独自のプラグインを構築してアセットを生成できるようになる計画です(参照*4)。

4D生成の面では、現在のBody-1やCar-5といった既定のスキーマを超えてカスタムスキーマを定義できる機能が予告されています。また、現在の生成オブジェクトはゲームサーバーに紐付いておりセッション間で引き継がれませんが、永続化APIの導入により、生成物をエクスペリエンスに保存しセッションをまたいで再利用できるようになる予定です(参照*12)。

おわりに

プロシージャルモデルは、パラメータの変更だけで3Dオブジェクトを自動再生成できる仕組みであり、Robloxのゲーム開発における繰り返し作業を大きく削減します。手書きコード、Assistantコマンド、MCP連携という3つの生成方法が用意されており、開発スタイルに合わせて選択できます。「どの方法を選ぶか」より「何を自動化し、何を人間が判断するか」を先に決めることが、実務での活用を前に進めるポイントです。

非破壊編集やCreator Storeでの共有といった再利用性の高さに加え、4D生成やEngine APIの提供といった今後の拡張も控えています。ゲーム開発の文脈で見ると、プロシージャルモデルは「AIに何を任せられるか」の実験場として非常に整理されています。生成AIを業務に導入しようとしている企業やクリエイターにとっても、この設計思想は参考になります。仕組みを把握しておくことで、制作の効率化と表現の幅を同時に広げる足がかりになるはずです。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、82万部(2025年3月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))

参照

ワークワンダースからのお知らせ

生成AIの最新動向をメルマガ【AI Insights】から配信しております。ぜひご登録ください

↓10秒で登録できます。↓