Google Gemini 3.7 Flash、DeepSWEが49%から65%へ。半額で使える実力

2026.08.23

WorkWonders

Google Gemini 3.7 Flash、DeepSWEが49%から65%へ。半額で使える実力

この記事のまとめ

Gemini 3.7 Flashは、Googleがコーディングとエージェント用途に向けて投入した働き頭のモデルです。3.6 Flashからわずか3週間後の登場で、長時間のソフトウェア開発課題であるDeepSWE v1.1では49.0%から65.3%へと伸びました。導入価格は年末までの期間限定で3.6 Flashのもとの半額水準に抑えられ、開発現場で試しやすい設計になっています。

  • コーディングとエージェントに寄せた働き頭モデルとして登場しました。
  • DeepSWE v1.1で49.0%から65.3%へと大きく伸びました。
  • 年末までの導入価格は入力$0.75/出力$3.75の半額水準です。
  • Gemini APIやGitHub Copilotなど複数チャネルで利用できます。

Gemini 3.7 Flashの位置づけ

Gemini 3.7 Flashの位置づけ

workhorseモデルの定義

Gemini 3.7 Flashは、コーディングとエージェント用途に特化して設計されたモデルです。

GoogleはGemini 3.7 Flashを、コーディングとエージェント用途に向けた最も賢い働き頭モデルとして紹介しています(参照*1)。大規模で複雑なエージェント課題を、現実的なコストと速度でこなす立ち位置にあります。

Gemini 3 Flash系はもともと、Pro相当の推論力とFlashならではの応答速度・効率・コストを組み合わせる方向で設計されています。私がこれまで複数のモデルを業務タスクで比較してきた経験から言えば、「速くて安い」モデルは精度が犠牲になるケースが多いのですが、この設計方針はその妥協点をうまく詰めようとしているという印象です。

日々の作業を支えつつ、エージェント的な連続作業でも成果を出せる設計だと説明されています(参照*2)。

働き頭とは、単発の質問応答よりも、コードを書き直したりツールを何度も呼び出したりする実務の連続処理を大量にこなす役どころだと読み取れます。派手さより回転数と安定性を求める場面に合うモデル、という理解が近いです。私自身、AIを業務に組み込む際に感じるのは、「1回の精度」よりも「何百回も動かしたときの安定性」のほうがずっと重要だということです。その意味で、エージェント用途に振り切った設計は実務的な判断だと思います。

3.6 Flashからの3週間リリース

Gemini 3.7 Flashは、3.6 Flashの公開からわずか3週間後にロールアウトが始まりました。

この短いサイクルは、開発者フィードバックとコアの最適化を反映したポイントリリースとして位置づけられています(参照*3)。

Googleは、3.7 Flashを働き頭として打ち出しつつ、開発者からの声とアルゴリズム面の改良を取り込んだと説明しています(参照*4)。

デバッグや課題解決といったコーディング作業では、3.6 Flashに比べて明確な伸びが報告されています(参照*5)。

3週間という間隔は、機能追加というより既存の弱点を細かく削っていく調整に近い印象です。直近の課題感が短いスパンで反映されやすい形と読み取れます。ただ、私がモデルを実務で評価してきた経験から言うと、3週間でのリリースには「開発者の声を素早く反映している」という側面と、「マーケティングとして継続的な改善を見せている」という側面の両方があります。新モデルが出るたびに宣伝文句だけを見て飛びつくのではなく、手元のタスクで実力を確かめる姿勢が重要です。

Geminiファミリー内の役割

Gemini 3.7 Flashは、Flash系の中でも複雑なコーディングやエージェント用途に向けた位置づけです。

Gemini APIの案内では、Gemini 3.7 Flashは最新かつ最も高性能なFlashモデルとされ、複雑なコーディング、エージェント的なワークフロー、多段階の実行に向けて作られていると説明されています。3.6 Flashは前世代のFlashで、速度と多モーダル能力のバランスを取る位置づけです(参照*6)。

3.7 FlashはFlash系の中でもっとも重い課題に向けた選択肢、3.6 Flashは日常寄りの汎用Flash、という棲み分けが読み取れます。用途がエージェントや複雑なコード生成に寄るなら3.7 Flashを、コストと汎用性を優先するなら3.6 Flashを、という選び方が整理できます。

コーディング性能の向上

コーディング性能の向上

DeepSWE v1.1の49%から65%

DeepSWE v1.1では、3.6 Flashから3.7 Flashへのスコア向上が公表されています。

Googleのブログは、DeepSWE v1.1のスコアを65.3%対49.0%と示し、3.6 Flashからの改善として紹介しています。あわせてFrontierCode 1.1 Mainでも43.6%対34.4%となり、first-passでのコード精度と本番投入向きコードの生成性能が伸びたとされています(参照*5)。

一方でDeepMindのモデルページでは、DeepSWE v1.1が長時間ソフトウェアエンジニアリング向けの評価であり、数値は65.3%と48.6%と表示されています(参照*1)。

外部メディアでは、Googleのシニアディレクター、Tulsee Doshi氏の言及として、DeepSWE v1.1が49%から65.3%へと動いた点が紹介されています(参照*3)。

公表元により3.6 Flash側の数値が49.0%と48.6%で表記に差があるため、比較する際はどのページの値かを揃えることがポイントです。私がモデルの比較をするときは、こうした数値の出所の違いを必ず確認するようにしています。同じモデルの数値でも出典が異なれば評価条件が違う可能性があり、数字だけを並べると誤った比較になりかねません。

FrontierCodeとWebDev Arena

3.7 Flashは、コード生成とWeb開発の評価でも3.6 Flashを上回る数値が紹介されています。

3.7 FlashはFrontierCode 1.1 Mainで43.6%というスコアを出し、first-passでのコード精度が高まったと紹介されています。DeepSWE v1.1でも65.3%を記録し、本番投入を意識したコード生成の質が伸びたと位置づけられています(参照*4)。

Web開発の領域では、より機能的なレイアウトや完成度の高いアプリを少ないプロンプトで作れるようになったとされ、Arena.aiのWebDev ArenaでEloが1588対1538と、3.6 Flashを上回っています(参照*5)。

Eloの50ポイント差は対戦型評価の中では明確な差ですが、常に勝つほどの開きではありません。とはいえFrontierCodeの絶対値が4割台に届いた点とあわせると、Web開発と本番向けコード生成の両輪で底上げが進んだと読み取れます。私が実際に業務でコード生成AIを使う際に重視するのは、ベンチスコアよりも「修正なしに使えるコードがどの割合で出るか」という点です。43.6%というfirst-pass精度は、裏を返せば6割近くは人間が手を入れる必要があるということでもあります。

エージェント寄りの改良

3.7 Flashは、エージェント的な実行を測る評価でも3.6 Flashを上回っています。

DeepMindのモデルページでは、エージェント的ターミナル操作を測るTerminal-bench 2.1が85.8%対78.0%、より一般的なエージェント能力のTerminal-bench 3.0が14.9%対5.4%、エンタープライズ業務自動化のAutomationBenchが30.4%対17.0%と、いずれも3.7 Flashが上回っています(参照*1)。

3.7 Flashはロードブロックへの適応、意図の明確化、指示追従の忠実度が改善し、多段の計画とツール呼び出しでもより丁寧な思考を見せると紹介されています(参照*4)。

GitHub側の初期テストでも、Web・アプリ開発とエージェント的なコーディングワークフローで改善が見られ、コード品質や検証の丁寧さが伸びたと報告されています(参照*7)。

半額価格設定と提供チャネル

半額価格設定と提供チャネル

導入価格と3.6 Flash比較

3.7 Flashは、年末まで入力100万トークンあたり$0.75、出力100万トークンあたり$3.75の導入価格で提供されます。

この価格は3.6 Flashの当初価格に対して半額の水準です(参照*4)。

DeepMindのモデルページでも、3.6 Flashと3.7 Flashが同じ$0.75/$3.75の価格で並記され、注釈付きの表示になっています(参照*1)。

外部メディアは、この導入価格を、より安い競合モデルへの対抗策としてGoogleが用意したものだと紹介しています(参照*3)。

重要なのは、3.6 Flashのもとの価格に対しての半額であって、直近の3.6 Flash運用価格と単純に比べたものではない点です。私がコンサルティングの現場でAI導入のコスト比較をするとき、こうした「何に対しての半額か」という基準のずれが混乱を生むことがよくあります。導入前にベースとなる価格の定義を確認しておくことをお勧めします。

利用可能なチャネル

Gemini 3.7 Flashは、Gemini API、Google Antigravity、GitHub Copilotなどで利用できます。

DeepMindのモデルページでは、Gemini APIとGoogle Antigravityが利用可能なチャネルとして案内されています(参照*1)。

GitHub Copilotでも3.7 Flashのロールアウトが始まっており、Copilot Pro、Pro+、Max、Business、Enterpriseの利用者が対象で、Enterpriseとビジネスのプランでは管理者がGemini 3.7 Flash Previewポリシーを有効化する必要があります(参照*7)。

Gemini SparkはGoogle AI ProとUltraの契約者向けで、3.7 Flashを使って知識労働の効率を高め、Google Workspaceアプリでのツール利用の改善と、複雑な多スキルワークフローでの精度向上を狙う位置づけです(参照*4)。

チャネルごとに、プレビュー扱いや管理者ポリシー、契約プランといった前提が異なります。組織で導入する場合は、まずどのチャネルから使い始めるかを決めておくと動きやすくなります。私の経験では、生成AI導入の難しさはモデルの性能よりも、こうした組織のルール整備や現場への定着の部分にあります。チャネル選定は、技術的な適合性だけでなく、管理者権限や承認フローとセットで検討するべきです。

エージェント用途での実力

エージェント用途での実力

長時間タスクとツール呼び出し

長時間タスクとツール呼び出しの評価でも、3.7 Flashの改善が紹介されています。

DeepMindのモデルページでは、長時間ソフトウェアエンジニアリングを測るDeepSWE v1.1が65.3%対48.6%、エージェント的ターミナル操作のTerminal-bench 2.1が85.8%対78.0%、より汎用のTerminal-bench 3.0が14.9%対5.4%と示され、いずれも3.7 Flashが上回っています(参照*1)。

金融、法務、生命科学のような知識集約領域でも、GDP.pdfベンチで34.0%対22.0%、AutomationBenchで30.4%対17.0%と、実務に近いワークフローの精度が伸びたと紹介されています(参照*5)。

研究側では、DeepResearchBenchという多ターンのエージェント評価でプロンプトキャッシュを比較したところ、主要3社の提供環境でAPIコストが45〜80%、最初のトークンまでの時間が13〜31%改善したと報告されています(参照*8)。

周辺技術との組み合わせ

キャッシュやエージェント基盤を組み合わせることで、運用面を補う方法もあります。

Google CloudのGeminiエージェント基盤では、Google Cloudのプロジェクトすべてで暗黙のキャッシュが既定で有効になっており、キャッシュ済みトークンは通常の入力に対して90%割引となります。明示的なキャッシュはより細かい制御ができ、Gemini 2.5以降のモデルでの割引は90%、Gemini 2.0では75%と説明されています(参照*9)。

同じ基盤には、Agent Development Kit(ADK)というモデル非依存のフレームワークや、社内データを安全につないでハルシネーションを抑えるRAG Engineが備わっています(参照*10)。

研究面では、推論戦略を蓄えるメモリの枠組みであるReasoningBankが提案され、Webブラウジングとソフトウェアエンジニアリングのベンチマークで、生の履歴や成功事例だけを蓄える既存メモリを上回る効率と有効性を示したと報告されています(参照*11)。

本番エージェント設計の勘所

本番運用向けのエージェント設計では、ツール設計や運用基盤の分離が論点になります。

本番運用向けのエージェント設計の実務ガイドでは、9つのベストプラクティスとして、モデル・コンテキスト・プロトコル(Model Context Protocol:MCP)経由のツールファースト設計、純粋関数としてのツール呼び出し、単一ツールと単一責任のエージェント、プロンプトの外部管理、責任あるAIに沿ったモデル構成の設計、ワークフローロジックとMCPサーバの分離、コンテナ化によるスケール運用、シンプルに保つKISS(Keep it Simple, Stupid)原則の遵守が挙げられています(参照*12)。

運用基盤としては、Gemini Enterprise Agent Platformが、企業データを土台にしてエンタープライズ級エージェントを素早く構築・拡張・統治・最適化するための包括的な場として案内されています(参照*10)。

ツール呼び出し精度の外部指標としては、Berkeley Function Calling Leaderboard(BFCL)V4があり、実データで関数呼び出しの正確性を継続的に評価しています(参照*13)。

注意点と適用しにくいケース

注意点と適用しにくいケース

ベンチマーク数値の読み方

ベンチマーク数値は、評価の対象と絶対水準をあわせて見る必要があります。

DeepMindのページには、複合的な知能指標としてComposite model intelligenceが56対52という数値も並んでいます。FrontierCode 1.1 Mainは本番コード品質を測る指標として43.6%対34.4%となっています(参照*1)。

Googleのブログでは、複雑な文書処理を測るGDP.pdfで34.0%対22.0%と、伸び幅が大きい一方で絶対水準は3割台にとどまっています(参照*5)。

外部メディアは、数字は確かに上がっているが、3週間で新モデルを出すほどの差なのかは疑問だとし、Google側の継続的改善の見せ方という側面もあると指摘しています(参照*3)。

エンタープライズ業務での限界

エンタープライズ業務では、フロンティア級のシステムでも通過率が50%未満にとどまる評価があります。

エンタープライズの財務・会計ワークフローを評価するFINCHの研究では、GPT-5.1、Claude Sonnet/Opus 4.5、Gemini 3 Pro、Grok 4、Qwen 3 Maxといったフロンティア級システムに対して人手と自動の両方で評価が行われ、GPT-5.1 Proは1ワークフローあたり平均16.8分をかけても、通過率は38.4%にとどまり、最強クラスのシステムでもワークフローの50%未満しか通せなかったと報告されています(参照*14)。

別の研究では、GPT-5、Qwen3-Max、Claude-3.7-Sonnet、Gemini-2.5-Flashのように自然言語タスクで優秀なモデルであっても、株式市場でのトレーディング性能は総じて低かったと報告されています(参照*15)。

これらは3.7 Flash単体の評価ではありませんが、言語タスクの強さがそのまま業務適用の成功に結びつくわけではないことを示しています。私がAI導入支援をする中で繰り返し見てきたのも、まさにこの点です。「ベンチマークで強いから使える」ではなく、「この業務のこの工程に入れたときに何割が使い物になるか」を先に決めてから検証する姿勢が、実務では不可欠です。

安全性評価と残るリスク

Gemini 3.7 Flashのモデルカードでは、CBRNとサイバーセキュリティの両領域で緩和策の展開継続が明記されています。

Gemini 3.7 Flashのモデルカードは、CBRN領域についてはテスト結果からTCLを一定の確度で否定できるとしつつ、理論面では高い能力を示す領域があるものの、優先度の高い有害な経路を完遂するに足る専門知識と実行可能な深さは持っていないと説明しています。緩和策の展開は継続すると明記されています(参照*16)。

サイバーセキュリティ領域では、CCL本体には達していないものの、警戒閾値には達しており、緩和策の展開が続けられるとされています(参照*16)。

CCL未到達は安全のお墨付きではなく、緩和策の運用継続が前提になっている点を押さえておくことがポイントです。サイバー領域では警戒閾値に達している以上、業務適用の際には権限設計やログを組み合わせた運用が求められます。AIのセキュリティリスクは情報漏洩だけでなく、権限範囲の設計ミスや監査ログの不在といった従来のIT管理とは異なる論点も含まれます。導入前にこの観点を整理しておくことが、後から問題を起こさない最短ルートです。

おわりに

Gemini 3.7 Flashは、DeepSWE v1.1が49.0%から65.3%、FrontierCode 1.1 Mainが34.4%から43.6%、WebDev ArenaのEloが1538から1588へと動き、コーディングとエージェント用途で明確な底上げが確認できるモデルです。年末までの導入価格が入力$0.75/出力$3.75と3.6 Flashのもとの半額水準に設定され、Gemini API、Google Antigravity、Gemini Spark、GitHub Copilotと複数のチャネルから触れられます。私がモデルを評価するときは、宣伝文句ではなく手元のタスクで実力を確かめることを基本にしています。この価格水準は、開発現場で小さなタスクから試して感触を掴むには十分な入り口になります。

一方でTerminal-bench 3.0は14.9%、エンタープライズの財務・会計ワークフローでもフロンティア級のパス率が50%未満にとどまるなど、単体で完結させにくい領域も残ります。ベンチの数値と価格の魅力を入り口にしつつ、キャッシュや基盤機能、責任範囲を絞ったエージェント設計を組み合わせて使う姿勢が実務では役に立ちます。生成AIの業務導入で最初に詰まるのは、プロンプトでもモデル選定でもなく、「AIに何をさせるか」を決めるところです。対象業務を候補生成・要約・検索補助・チェックといった工程に分解し、どこに人間の確認を挟むかを先に設計する。それができれば、3.7 Flashの性能はかなりの範囲で活かせると私は考えています。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、95万部(2026年6月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))

参照

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