DeepSeek V4-Pro-0813正式公開、出力料金は最大10倍超の大幅値上げへ

2026.08.27

WorkWonders

DeepSeek V4-Pro-0813正式公開、出力料金は最大10倍超の大幅値上げへ

この記事のまとめ

DeepSeekの新しい旗艦モデル「V4-Pro-0813」が正式公開されました。エージェント性能と1Mコンテキストが強化された一方、API価格は2026年8月16日16:00(UTC)から調整され、ピーク/オフピーク制も導入されます。要点は次の通りです。

  • V4-Pro-0813は2026年8月13日に正式版として公開されました。
  • 料金調整とピーク/オフピーク制は2026年8月16日16:00(UTC)から適用されます。
  • オフピーク料金はピーク料金の半額です。
  • キャッシュ活用とオフピーク運用が実務での鍵になります。

DeepSeek V4-Pro-0813の基本情報

DeepSeek V4-Pro-0813の基本情報

DeepSeekの位置づけと0813の意味

DeepSeekと「0813」の意味を押さえておくと、モデルの公開時点を整理しやすくなります。新モデルが出るたびに名称の意味を確認する習慣は、比較検証を正確に行ううえで地味に重要です。

DeepSeekは中国発のAIスタートアップで、大規模な専門家混合方式(Mixture of Experts:MoE)のモデルを開発しています。V4-Pro-0813は、V4-Proシリーズの正式版(GA版)にあたるビルドです。名前の末尾にある「0813」は、8月13日のビルド識別子で、2026年4月24日にオープンウェイトで公開されたV4系のプレビュー期間を締めくくる位置づけになっています(参照*1)。

同じV4-Proでも、プレビュー版とGA版では性能や料金が異なる場合があります。私が複数のモデルを検証してきた経験からも、「V4-Pro」とだけ書かれているニュースやドキュメントは、どの時点のビルドを指すのかを確認しないと比較時に混乱しやすくなります。モデル名だけでなく、日付つきのビルド識別子まで見る癖をつけることをお勧めします。

V4-ProとV4-Flashの違い

V4シリーズには、用途の異なる「Pro」と「Flash」があります。

DeepSeek-V4-Proは総パラメータ1.6T、アクティブ49Bという大型構成で、世界の最上位クラスの非公開モデルに匹敵する性能を狙った位置づけです。一方のDeepSeek-V4-Flashは総パラメータ284B、アクティブ13Bで、速くて安く効率のよい選択肢として設計されています(参照*2)。

価格でも差があり、V4-Proが入力$0.435・出力$0.87(1Mトークン)なのに対して、V4-Flashは入力$0.14・出力$0.28に設定されています(参照*3)。

値上げの影響は、モデルと料金項目を分けて確認する必要があります。「DeepSeekが高くなった」とひとくくりにするのではなく、どのモデルのどの料金項目が変わるのかを具体的に把握することが、コスト設計の出発点です。私自身、AIツールの導入コストを見積もる場面で、料金体系の変更を見落として試算がずれた経験があります。料金は定期的に公式ページで確認する運用を組み込むべきです。

1Mコンテキストと384K出力の意味

V4シリーズの特徴は、文脈長と出力長の大きさです。

V4-ProとV4-Flashはどちらも1Mトークンの文脈ウィンドウを持ち、1回の応答で最大384,000トークンの出力に対応します(参照*3)。

公式ドキュメントでは、1Mコンテキストがすべての公式サービスで既定になったと案内されています(参照*2)。

1Mトークンは、コードベースや長い契約書類をまとめて読み込ませられる規模です。384Kの出力は、長い設計書や大量のコード生成を1回のやり取りで受け取れることを意味します。

入出力のトークン数が増えると、単価が同じでも1回あたりの支払い額は増えやすくなります。料金改定とあわせて、利用する長さも確認することがポイントです。

正式公開までの経緯と背景

正式公開までの経緯と背景

プレビューから正式公開までの流れ

V4-Pro-0813は、プレビューを経て正式版として公開されました。

V4ファミリーは2026年4月24日にプレビュー版として初めて公開され、旗艦のDeepSeek-V4-Proと軽量なDeepSeek-V4-Flashが同時に登場しました(参照*3)。

その後、V4-Flashが先に2026年7月31日に正式版として公開され、変更履歴ではPro版も「間もなく続く」と告知されました(参照*4)。

2026年8月13日、DeepSeek-V4-ProのGAリリースがAPP・Web・APIで展開され、APIの呼び出し方法は変更なく、モデル名を「deepseek-v4-pro」に設定するだけで最新版を利用できるとされました(参照*4)。

既存のAPI利用コードを変更せずに最新版を利用できる点は、開発者にとって移行コストが低くて助かる設計です。一方で、料金や挙動が変わっていることには気づきにくくなるため、変更ログを定期的に確認する運用を別途持っておくことが重要です。

計算資源の逼迫と安売り競争の転換

価格調整の背景には、計算資源とリソース配分があります。

V4のローンチ時、DeepSeekはPro版について「ハイエンドの計算資源の制約」を理由に、Flash版の最大12倍のコストがかかるとし、Huawei Ascend 950スーパーノードが下半期に大量投入されれば価格は急速に下がる見込みだと説明しました(参照*5)。

公式のアップデート告知では、V4ファミリーの正式リリースに合わせてAPI価格を調整し、リソース配分のためにピーク/オフピーク制を採用すると明記されています。オフピーク価格はピーク時の半額です(参照*4)。

料金調整は2026年8月16日16:00(UTC)から適用されます(参照*4)。

低価格という前提だけでコスト試算をしていた場合は、価格表と時間帯を踏まえて見積もりを更新する必要があります。生成AIの導入支援をしていると、「最初に試算したコストと実際の請求が大きく違った」という相談を受けることがあります。モデルの性能だけでなく、料金体系の変動リスクも織り込んだ設計を最初から意識すべきです。

新料金体系とピーク/オフピーク制

新料金体系とピーク/オフピーク制

新価格表と旧価格からの上昇幅

新料金は、入力のキャッシュ状態と出力を分けて確認する必要があります。

V4-Pro-0813の1Mトークンあたりの料金は、キャッシュミス時の入力が$0.435、キャッシュヒット時の入力が$0.003625、出力が$0.87です。同じ表でV4-Flashは入力$0.14/$0.0028、出力$0.28となっています(参照*1)。

以前のV4-Pro APIコストは、用途によって1Mトークンあたり0.025〜6元(およそ$0.0035〜$0.83)で、それ以前は0.1〜24元だったと報じられています(参照*5)。

キャッシュヒット時の入力と、キャッシュミス時の入力・出力では単価に大きな差があります。項目ごとに現行料金を確認して再計算することが必要です。「入力料金」とひとまとめに見ていると、キャッシュヒット率次第でコストが数十倍変わる可能性があるため、この区別は特に重要です。

ピーク/オフピーク制の仕組み

ピーク/オフピーク制では、時間帯によって料金が変わります。

公式APIの価格ページでは、オフピーク料金はピーク料金の半額とされ、ピーク時間はUTCで01:00〜04:00と06:00〜10:00、それ以外の時間帯はすべてオフピークと定義されています(参照*6)。

北京時間(UTC+8)では、ピーク時間は午前9時〜正午と午後2時〜午後6時にあたります。テンセントクラウド版のDeepSeek-V4-Pro原厂直供でも、ピーク時間の定義は毎日9:00〜12:00と14:00〜18:00(北京時間)で、推論入力、推論出力、キャッシュヒットの料金はいずれもピーク時に2倍となっています(参照*7)。

UTCと現地時刻の両方でピーク時間を把握しておかないと、想定外の請求につながります。クラウドサービスの料金設計は往々にしてUTC基準で書かれているため、自社の運用時間帯に変換して確認する手順を、チームのドキュメントに明記しておくことをお勧めします。

出力料金が最大10倍超になるケース

提示された料金情報だけでは、出力料金が最大10倍超になることは確認できません。

V4-Pro-0813の料金は、1Mトークンあたり入力(キャッシュミス)$0.435、キャッシュヒット$0.003625、出力$0.87です(参照*1)。

以前のV4-Pro料金は1Mトークンあたり0.025〜6元(およそ$0.0035〜$0.83)まで下げられていましたが、この範囲は用途別の料金です(参照*5)。

テンセントクラウド版では推論出力が平時6元、ピーク12元と設定されており、時間帯によって2倍になります(参照*7)。

コストを試算する際は、入力・出力・キャッシュ利用と時間帯を分けて確認する必要があります。

強化されたエージェント能力と1Mコンテキスト

強化されたエージェント能力と1Mコンテキスト

主要ベンチマークの伸び

GA版V4-Pro-0813では、エージェント能力の強化が公表されています。

GA版V4-Pro-0813の主要スコアは、HLE(ツールなし/あり)42.7/60.0、Terminal Bench 2.1が87.9、NL2Repoが61.5、CyberGymが83.3、DeepSWEが62.7、Toolathlon-Verifiedが74.1、Agents' Last Examが25.7、AutomationBench(Public)が31.8、DSBench-FullStackが71.1、DSBench-Hardが67.2と公表されています(参照*4)。

プレビュー版との差分では、DeepSWEが12.8から62.7で+49.9、CyberGymが52.7から83.3で+30.6、NL2Repoが38.5から61.5で+23.0、Terminal Bench 2.1が72.1から87.9で+15.8とされています(参照*1)。

公式のリリースノートでは、エージェント能力の強化として、Agentic CodingベンチマークでのオープンソースSOTAが挙げられました(参照*2)。

ベンチマーク結果が自社ユースケースでの効果を保証するわけではありません。私も新モデルが出るたびに宣伝文句ではなく手元のタスクで実力を確かめる姿勢を取っています。DeepSWEやCyberGymのスコアが大きく伸びていることは評価できますが、実際の業務プロンプトや評価データで比較することが、採用判断の前提になります。

Responses API対応とthinking effort

エージェント運用に関わる更新として、Responses API対応とthinking effortの制御が追加されました。

公式アップデートでは、DeepSeek APIがOpenAI Responses APIフォーマットをネイティブサポートし、Codex向けに適合されたと案内されています(参照*4)。

同じ告知では、V4-ProとV4-Flashのthinkingモードがlow/high/maxの3段階に対応し、簡単な処理にはlow、日常的なエージェント作業にはhigh、より複雑な状況にはmaxを使い分けられるとされています(参照*4)。

thinkingモードは既定で有効化され、既定のeffortはhighに設定されています(参照*8)。

タスクごとにthinking effortを明示指定することで、処理内容に応じたコストと品質のバランスを取れます。簡単な処理にmaxを使い続けると、不要なトークンを消費するだけです。業務を「候補生成」「検索補助」「複雑な推論」に分けて、effortレベルを設計に組み込む発想が実務では有効です。

コスト試算と利用方針の見直し

コスト試算と利用方針の見直し

キャッシュヒット活用による実効単価削減

キャッシュヒットを増やすと、入力の実効単価を抑えられます。

V4-Pro-0813のキャッシュヒット時の入力は1Mトークンあたり$0.003625で、キャッシュミス時の$0.435より低く設定されています(参照*1)。

DeepSeek APIのディスク上コンテキストキャッシュはすべてのユーザーに対して既定で有効で、コード変更なしに利用できます(参照*9)。

キャッシュヒットには、保存済みのキャッシュ接頭辞との完全一致が必要です。キャッシュシステムはベストエフォートであり、100%のヒット率は保証されません(参照*9)。

システムプロンプトや共通の指示文を安定させると、キャッシュヒット率を高めやすくなります。ただし、キャッシュはベストエフォートであり100%は保証されないため、想定と実測の差を定期的に確認し、キャッシュに乗りにくい変動要素を把握しておくことがポイントです。プロンプト設計の段階で「どこを固定してどこを変動させるか」を意識すると、コスト管理の精度が上がります。

ピーク回避とジョブスケジューリング

実行時間帯を調整できる処理は、オフピークへの配置を検討できます。

公式のアップデートでは、リソースをより合理的に配分するためにピーク/オフピーク価格を採用し、オフピーク価格はピーク時の半額に設定すると明記されています(参照*4)。

ピーク時間はUTCで01:00〜04:00と06:00〜10:00で、その他の時間帯はオフピークです(参照*6)。

公式の価格ページでは、料金は変動する可能性があり、実際の利用に合わせてチャージし、最新の価格情報を定期的に確認するよう案内されています(参照*6)。

バッチ処理や夜間の集計ジョブは、オフピークに寄せられる場合があります。対話型サービスのように利用時間がピークに重なる用途では、キャッシュ設計やモデルの使い分けもあわせて検討します。生成AIの業務導入では、こうした「どの工程をいつ動かすか」というスケジューリングの設計が、コスト削減の実効性を左右します。

V4-ProとV4-Flashの使い分け

V4-ProとV4-Flashを役割で分けると、価格差を活用できます。

V4-Flashは1Mトークンあたり入力$0.14、出力$0.28で、Proの入力$0.435・出力$0.87と比べて低い水準です(参照*3)。

公式のClaude Code連携ガイドでは、OpusとSonnetに「deepseek-v4-pro[1m]」を割り当て、Haikuやサブエージェントには「deepseek-v4-flash」を割り当てる環境変数の設定例が示されています(参照*10)。

高度な推論やコード修正ではPro、大量処理や軽作業ではFlashという分担は、コスト効率の観点から合理的な発想です。公式のClaude Code連携ガイドで示されている設定例は参考になりますが、あくまでたたき台であり、自社用途での効果を評価したうえでモデルを選ぶことが必要です。「とりあえずProを使う」という運用は、コストの無駄が積み上がりやすいため注意が必要です。

おわりに

DeepSeek V4-Pro-0813の正式公開では、エージェント能力の強化と1Mコンテキストの標準化が示されました。料金面では、2026年8月16日16:00(UTC)からAPI価格の調整とピーク/オフピーク制が適用されます。性能面の向上は評価できますが、それと同時に、コスト試算の前提が変わるという実務上の影響をきちんと把握することが重要です。

現行の入力・出力・キャッシュヒット料金を確認して再試算し、キャッシュヒット率を高める運用や、バッチをオフピークに寄せる運用、ProとFlashのタスク別配置を検討することが、今後の実務対応の出発点になります。生成AIの導入支援をしていて常々感じるのは、モデル選定よりも「料金体系の変動に対して運用ルールをどう整備するか」のほうが、現場では難しい問いだということです。公式の価格ページは変動する可能性があるため、定期的な確認を仕組みとして組み込んでおくことをお勧めします。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、95万部(2026年6月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))

参照

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