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はじめに
近年、さまざまな分野で人工知能(AI)の技術革新が進み、その中でも「生成AI」が大きな注目を集めています。生成AIとは、大規模言語モデル(LLM)や生成モデルを活用し、人間の対話や創作活動を支援するAI技術です。代表例として、会話型生成AIのChatGPT(OpenAI、アメリカ)、Gemini(Google、アメリカ)、Claude(Anthropic、アメリカ)などが挙げられます。これらの進化により、文章生成、画像生成、音声合成など多様な用途への展開が加速しています。
本記事では、生成AIの概要や最新動向、国内外の主要サービス一覧を解説し、具体的な選び方の指針を示します。また、利用時に注意すべきセキュリティや法的リスク、導入時の実務ポイントも取り上げ、最終的に自社や個人に合ったサービスを見極めるためのヒントを提供します。
生成AIサービスとは
生成AIサービスは、あらかじめ学習済みの大規模モデルを用いて、人間が問い合わせや指示(プロンプト)を入力すると、テキストや画像、音声などのコンテンツを自動生成するサービスです。その利便性から、さまざまな業種や領域で導入が進んでいます。企業や個人が求める応答や出力を短時間で生み出せる点は、生産性向上や業務効率化に直結します。
生成AI技術の仕組み
生成AIは主に大規模言語モデル(LLM)や自己回帰型モデルなどを基盤としています。これらのモデルは膨大なテキスト・画像・音声データを学習し、データ同士の関連性を高精度で捉えられるよう設計されています。利用者の入力(プロンプト)を受けると、その内容や目的に適した生成結果を出力します。たとえばChatGPT(OpenAI、アメリカ)は大量の文書データを学習し、人間に近い自然な対話やテキスト生成を高精度で実現しています。Gemini(Google、アメリカ)も独自の大規模モデルを備えています。これらの仕組みは、複数層のニューラルネットワークを使い、文章・画像・音声といった異なる媒体の情報を相互に関連付けることで、多様なクリエイティブ成果物を生み出します。
近年ではマルチモーダル対応が進み、文章だけでなく画像や音声など複数の情報形式を融合的に処理できるAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)の提供も拡大しています。たとえば、写真を入力すると関連するテキストや音声を出力するなど、アイデア次第で新たな使い方が期待されています。こうした技術は世界的に急速に成長しており、企業も積極的に研究開発を進めています。
最新動向の概要
2023年にChatGPTが登場して以降、文章生成だけでなく画像生成や動画生成も含め、生成AI市場は急速に拡大しました。AI Marketが公開した「生成AIレポート2023」では、2023年までに提供開始された国内外の主要生成AIサービスを24~30種類にわたり分析しています(参照*1)。このようなレポートが増加し、市場動向の可視化やサービス比較の資料として多くの企業関係者の関心を集めています。
OpenAI、Google、Microsoft、国内企業などが多様なサービスを続々とリリースしており、文章自動生成だけでなく、画像・動画・音楽制作などクリエイティブ工程を支援するツールも登場しています。たとえばAIエージェントの開発や、音声合成・高精度翻訳・プログラムコード自動生成など、幅広い分野での活用事例が増加しています。利用者は業務や学習、趣味など目的に合わせて最適なサービスを組み合わせることで、高い生産性を実現できるようになっています。
主要カテゴリのサービス一覧
生成AIサービスは目的や形式に応じていくつかのカテゴリに分類されます。ここでは、会話型生成AI・文章生成AI・画像生成AI・音声合成AI・音楽生成AI・動画生成AIの6つを取り上げ、それぞれ代表的なサービスを紹介します。各サービスは提供企業や料金形態、日本語対応や商用利用の可否など、選択時に考慮すべきポイントが多くあります。
会話型生成AI
会話型生成AIは、人間の質問や命令に対して対話形式で回答を返すAIサービスです。ChatGPT(OpenAI)、Claude(Anthropic、アメリカ)、Perplexity(アメリカ)などが有名で、自然言語で指示するだけで長文要約やアイデア出し、コードのリファクタリングなど幅広い用途に対応します。こうしたサービスが注目される背景には、メールや顧客問い合わせの自動対応システムに会話型AIを組み込むことで、カスタマーサポート業務を大幅に効率化した実例が世界中で報告されていることがあります(参照*2)。
ChatGPTは無料プランと有料プランがあり、有料プランでは高負荷時の優先アクセスや新機能の先行利用などのメリットがあります。多くの開発者がAPI経由で独自サービスに組み込む事例も増えており、今後も拡充が期待される分野です。Claudeは長文コンテキストへの対応力が強みで、複雑な文脈処理が可能です。
文章生成AI
文章生成AIは、利用者が望むテーマやトーンに応じてテキストを自動作成する仕組みを提供します。Rytr(アメリカ)、Notion AI(アメリカ)、Copilot(Microsoft、アメリカ)などが代表的です。ブログ記事の下書きやビジネスメール、SNS投稿の作成など、ライティング支援ツールとして個人や企業で活用されています(参照*3)。
文章生成AIの品質はモデルの学習データ量やアルゴリズムの進化に左右されます。多くの場合、無料プランでも一定回数までは利用でき、使いやすさや生成精度を試せます。有料版では生成トークン数の拡大やプライベート空間での利用などの特典があり、セキュリティや秘匿性を重視する企業での導入が増えています。Notion AIはドキュメント管理と連動し、アイデアメモからプロジェクト管理まで一括で行える点が特徴です。
画像生成AI
画像生成AIは、テキストの指示やパラメータ設定に基づき、新しい画像を自動生成するサービスです。Stable Diffusion(Stability AI、イギリス)、Canva(オーストラリア)、Microsoft Designerなどが代表例です(参照*4)。従来は専門的なスキルや時間を要したグラフィック作成を、誰でも手軽に行えるようになりました。
Adobe Firefly(Adobe、アメリカ)やImageFXも注目されており、イラスト作成やロゴデザイン、SNS投稿用バナーや広告素材の制作にも活用されています。無料枠と有料プランの違いは生成回数や利用可能な拡張機能にあることが多く、本格的なデザインには有償プランでの高解像度出力や追加素材の利用が検討されます。高品質なビジュアルを短時間で得られるため、マーケティングや広報の分野で特に注目されています。
音声合成AI
音声合成AIは、自然なイントネーションを持つ音声を自動生成するサービスです。VALL-E(Microsoft)、VOICEPEAK(エーアイ、 日本)などが代表例で、文字入力から複数の話者スタイルを選択し、リアリティの高い音声を作成できます(参照*5)。
観光ガイドや電話応対、ナレーション動画の作成など多用途に利用されており、日本語対応を強みにするサービスも増えています。近年のアップデートでスピーチスピードや感情表現の制御も可能になりました。企業では業務マニュアルの音声案内やコールセンターの自動応答など、人手不足やコスト削減を目指す活用が進んでいます。AIによる音声クローン技術は著作権や肖像権の問題とも関係するため、契約面での確認が重要です。
音楽生成AI
音楽生成AIは、指定したジャンルや曲調に合わせてメロディや伴奏パターンを自動作曲する技術です。Suno(アメリカ)、MusicFX、Beatoven AI(インド)などが代表例で、Riffusionのように音を視覚化して作曲を支援するサービスもあります(参照*4)。
動画やゲームなどBGMが必要な場面で著作権フリーの音源を手軽に入手できる点が利点です。プログラミング知識がなくても操作できるインターフェースを備え、音楽制作経験が少ない個人でも利用できます。一方、生成された楽曲の権利処理やオリジナル性の確認は重要で、商用利用時は契約内容を必ずチェックしましょう。
動画生成AI
動画生成AIは、数行のテキスト説明や画像・映像クリップを指定すると、自動的に動画を組み立てて編集し、映像を出力するサービスです。Runway(アメリカ)、Pika Labs(アメリカ)、HunyuanVideo(中国)などが代表的です(参照*6)。
動画制作の拡張機能として字幕生成やトランジション、エフェクト付与の自動化も可能です。従来は数時間かかった編集作業を短縮し、SNS向け短編動画や商品プロモーション映像を迅速に制作できます。AIに詳細なプロンプトを与えるほど完成度が高まる傾向があり、AIの出力をベースに人間が微調整することで独自性のある作品を作ることができます。
主要サービスの比較と選び方
生成AIサービスを選ぶ際は、どのような機能を重視するか、どこまで費用を負担できるかを踏まえる必要があります。現在は「多機能型サービス」と「特化型サービス」があり、料金やサポート体制も大きく異なります。ここでは、それぞれの視点で検討すべきポイントを整理します。
多機能型サービス
多機能型サービスは、文章生成・画像生成・会話型AIなどをワンストップで利用できるのが特徴です。たとえばChatGPTプラス(OpenAI)は文章や会話、プラグイン機能による外部サービス連携が可能です。Copilot(Microsoft)やGemini(Google)も多機能を備え、開発支援からビジネス文書作成まで幅広くカバーします(参照*7)。
多機能型サービスを導入すると複数用途をまとめてカバーでき、管理コストを抑えられます。一方、すべての機能が突出しているわけではなく、特化型サービスに比べて専門性が劣る場合もあります。現場のニーズが幅広い場合や、部署ごとに異なるタスクを抱える組織には有用ですが、特定機能で最高精度を求める場合は特化型サービスとの比較検討が重要です。
特化型サービス
特化型サービスは、文章生成や画像生成など特定分野に集中して開発されています。Stable Diffusionは画像生成技術に特化し、クリエイティブなビジュアル作成で高く評価されています。音楽分野ではBeatoven AIが作曲に強みを持ちます。こうしたサービスは専門性が高く、クオリティ面で独自の優位性を持つ場合が多いです(参照*4)。
特化型サービスのメリットは、高度なカスタマイズ機能や専門領域に合わせた最適化が進んでいることです。モデルが細分化されたデータセットを扱うケースが多く、より精密で自分の求めるテイストに沿った生成結果を期待できます。一方、複数用途をカバーするには複数の特化型サービスを組み合わせる必要があり、契約や運用管理の手間が増える可能性もあります。目的が明確で、その領域で最高レベルの精度を望む場合は特化型サービスが適しています。
料金とサポート体制
料金は無料プランと有料プランがあり、有料プランは段階的な料金設定が一般的です。無料プランでも利用回数やトークン量に上限があり、有料プランでは追加機能や商用利用の許可などが付与されます。大企業向けにはエンタープライズ契約を結び、カスタマーサクセスチームが導入支援を行うサービスもあります(参照*6)。
サポート体制は、オンラインフォーラムの充実や専任担当者の有無などさまざまです。大規模組織での導入時は、サービス運営企業によるSLA(サービス品質保証契約)や技術問い合わせのレスポンス速度などを確認し、意思決定することが重要です。開発環境への組み込みやデータ取扱方針など、現場での実務を円滑に進める支援があると、トラブルの未然防止や迅速な解決につながります。
利用時の注意点
生成AIサービスを活用する際は、利便性だけでなく、セキュリティや法的リスク、導入に関わる具体的な運用面も考慮する必要があります。体制が不十分なまま導入すると、情報漏えいやライセンス違反などのリスクを招く可能性があります。
セキュリティと法的リスク
生成AIの利用に関連して、個人情報を誤って入力するケースや、知的財産権に違反するコンテンツを生成してしまうリスクが指摘されています。企業では、社内文書や機密情報をAIに入力してしまい、不適切に取り扱われたデータが外部に流出する事例も報告されています(参照*7)。また、著作権で保護されるテキストや画像を無断で学習データに使っているのではないか、という議論も各国で活発です。
法的観点では、著作権・商標権・肖像権などの制約を遵守する必要があります。サービスごとに利用規約やライセンスが定められており、生成物の広告利用や再配布の範囲が明示されている場合もあります。企業導入時は、コンプライアンス担当や法務部門と連携し、利用規約違反がないかをチェックする体制づくりが重要です。
導入の実務ポイント
導入フェーズでは、まず対象となるプロジェクトや業務内容に適したカテゴリのサービスを選定します。たとえば顧客対応の効率化が目的なら会話型生成AI、デザイン業務の効率化なら画像生成AIなど、目的を明確にして必要なサービスに焦点を当てましょう。具体的な業務フローに落とし込む際は、API連携やデータ取扱手順など技術面の設定も進めます。
また、利用者向けのガイドラインや研修を実施し、どのような入力で適切な応答や生成が得られるか、どのような指示を避けるべきかを周知徹底し、誤入力やデータ漏洩を防ぐ仕組みを整えます。大規模組織では利用端末やネットワーク環境を制限する場合もあります。運用段階では、定期的に生成結果の品質をチェックし、不適切な出力や誤情報の混入がないかを確認するプロセスを組み込みましょう。
おわりに
本記事では、生成AIの基礎から代表的なサービス一覧、具体的な選び方や導入時の注意点までを解説しました。ChatGPTやGemini、Claude、Copilotなど多機能型サービスの進化に加え、音楽生成や画像生成など特定領域に特化したサービスの存在も市場を活性化させています。
生成AIサービスの進展により、デジタルコンテンツの創作や業務効率化は今後ますます進むと考えられます。同時に、法的リスクや倫理面での配慮も欠かせません。今後は自社や個人のニーズに合わせて最適なサービスを組み合わせ、より生産的で安全な活用モデルを構築していくことがポイントです。
監修者
安達裕哉(あだち ゆうや)
デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、82万部(2025年3月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))
参照
- (*1) プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES – 【生成AIレポート 2023】無料提供開始のお知らせ〜国内外の主要生成AI 30サービスを総まとめ〜|AI Market
- (*2) AI総研|AIの企画・開発・運用を一気通貫で支援 – AI総研は、AIのビジネス活用の戦略立案から開発まで一気通貫で支援。国内最大級のビジネス向けAIメディア運営で培った幅広いテーマ・業界に渡る知見を活用し、成果に繋がるAI戦略/企画を立案。 – 【全15選】代表的な生成AIサービス一覧|特徴/強み~料金まで
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