クレジットエンジンは、金融機関向けの「オンライン融資管理システム」の提供を行っているスタートアップ企業です。
そのサービスに関連した取り組みの一つが「生成AI」の活用ですが、新しい試みが評価され日経新聞に取り上げられました。
クレジットエンジン・グループ(東京・港)は自社の債権回収システムに生成AI(人工知能)を活用する。まずは自社システム内の債務者とのチャット機能で督促のやり取りを自動化し、将来は電話対応も担う仕組みを整える(日経新聞2024年1月16日)
そこで今回は「生成AIの利活用」について、クレジットエンジン社の取締役COOの新色さんに、お話を伺いました。
貴社事業の概要について、教えてください。
当社は「債権回収管理のお困りごとをデータとテクノロジーの力を使って解決するサービスを提供している会社」です。
従来、属人的かつ紙ベースで行われることが多かった業務ですが、弊社のプラットフォームが適切なUIを提供することで、金融機関さんや、貸出をしている事業会社さんの効率性の向上とコスト削減に寄与しており、従来の手法に比べて大幅な業務改善を実現しています。
例えば与信判断は従来、決算書ありきでしたが、入出金データなど、キャッシュフローや仕訳データも利用できれば、さらに最適化することができます。
貴社の事業が、市場から歓迎された理由はどのようなところにありますか?
我々が受け入れられた理由としては、もともと自分たちで貸金業ないしは債券回収管理業のライセンスを持ち、実務をやっていたからっていうのが大きいと思います。
金融業に強みを持つSIerさんも少なくはないですが、自分たちで事業・サービスを運営してないと、細かい実務において、どうやればいいのかわかりにくいところがあると思います。
そのフィードバックループを約七年程回し続けてきました。これは我々と同様のサービスを提供している事業者の中でも長いと思います。
また、最初は銀行などの金融機関に向けから始まったのですが、提供実績も増えており、現在ではリース業やクレジットカード会社向けにもサービスを提供しています。
生成AIの利活用で、日経新聞に取り上げられたという事ですが、こちらについて詳しく教えてください。
システムの中に、債権者と債務者がやり取りをできるチャット機能があります。法的な制限などがあり、非常に回答には気を遣う部分です。
そこで、チャットのオペレーターが会話をするときに、債務者の方からこういう質問があったらこういうお答えをしたらいいんじゃないですかとAIがオペレーターにサジェスチョンをするシステムを組み込みました。
AIが直接回答をするわけではないですが、オペレーターの回答のクオリティの向上もしくは均質化につながっています。
将来的には音声で、かつ直接AIが回答することも視野に入れています。
技術的なポイントとしては「スピード」や「適切な回答ができるかどうか」が鍵となります。このような技術的問題が解決されれば、より自然でスムーズな対話が可能になるでしょう。
生成AIの利活用は、消費者にどのようなメリットをもたらすとお考えでしょうか?
最も大きいのは、債務返済におけるカスタマージャーニーにおけるユーザーエクスペリエンスの向上かなと思っています。
例えば、返済したいときに返済できる、問い合わせをしたいときに、ちゃんと問い合わせに回答してもらえる。
債務者の方々にとってのカスタマージャーニーってあんまり優先順位上げられてなかったところだと思うのです。
延滞したからといって、ぞんざいな扱いになるっていうことではなく、債権者としっかりとしたコミュニケーションが取れる素地が作れる。そういったポジティブな側面があるのだと思います。
新色さん、ありがとうございました!