「Seedance 2.0」とは?マルチショット動画生成・音声同期・参照入力まで最新仕様を調査

2026.02.11

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「Seedance 2.0」とは?マルチショット動画生成・音声同期・参照入力まで最新仕様を調査

はじめに

ByteDanceは、短尺動画アプリのTikTokで知られる企業ですが、制作側の道具も強化しています。その流れの中で登場したのが、動画を自動で作るモデルの「Seedance 2.0」です。

企業のDX担当者にとって注目点は、単なる「面白い動画が作れる」ではなく、広告クリエイティブ制作の工数削減、多言語展開、配信までの速度アップに直結しやすいことです。Seedance 2.0は、短い動画部品を素早く作って検証する用途に寄せた設計が目立ちます。

この記事では、Seedance 2.0が何をできるのかを、機能・評価・使い方・リスクの順に整理します。専門用語はできるだけ避け、数字や具体例を交えて説明します。

Seedance 2.0とは

Seedance 2.0とは

ByteDance内の位置づけと提供チャネル

Seedance 2.0は、ByteDanceの動画生成技術の系統にあるモデルです。CometAPIは、Seedance 2.0をByteDanceの「クリエイティブスタック」の一部として開発し、CapCutのDreamina(制作向けの機能をまとめた画面)と密接に結びつくものだと整理しています。(参照*1

提供のされ方も重要です。Timeは、Seedanceは6月に最初の版が出ており、米国内では第三者のプラットフォーム経由で利用できると説明しています。つまり、国や地域によって、使える入口が同じとは限りません。(参照*2

またTimeは、ByteDanceのLLMであるDoubaoの月間アクティブユーザーが1億5千万人とされる点にも触れています。社内で複数のAIを展開し、利用規模を広げる動きとして見ると、動画生成も単発の実験で終わらず、製品群に組み込まれていく可能性を想像しやすくなります。(参照*2

何が新しいのか

Seedance 2.0の新しさは、映像だけでなく、音や声までを一体で作る方向に踏み込んだ点です。Numeramaによると、2026年2月初頭にByteDanceはSeedance 2.0を発表し、画像・音・声・音楽を同じ流れで生成できると説明しています。1回の処理で画像、音、会話の同期、音楽まで作るという整理です。(参照*3

企業利用の観点では、制作工程が減ることが価値になります。映像を作ってから別の道具で音声やBGMを足すと、口の動きや尺のズレが起きやすく、チェック項目も増えます。最初から音と映像がそろう設計は、修正回数や確認負荷を下げやすい方向です。

一方で、万能ではありません。Numeramaは、手や文字、複雑な動作が不安定になりやすく、設定次第で混乱する場合があるとも述べています。社内で使うなら「何が得意で、どこが崩れやすいか」を前提に、用途を絞って導入すると判断しやすくなります。(参照*3

主要機能と仕様

主要機能と仕様

マルチショット生成と一貫性

Seedance 2.0では、短い動画を1本作るだけでなく、複数のカットをつないだような「マルチショット」を狙えます。Numeramaは「マルチショット・コンシステンシー」という新機能を挙げ、1つの指示文や参考画像から複数のカットを作っても、人物の同一性や見た目の連続性を保てると説明しています。(参照*3

ここで大事なのは、単に「似た雰囲気」ではなく、同じ登場人物として見えることです。例えば、1カット目は正面、2カット目は横顔、3カット目は引きの画、と切り替えたときに、顔つきや服の特徴が変わると視聴者は違和感を持ちます。マルチショットの一貫性は、この違和感を減らすための土台になります。

また、解像度も制作の現場感に関わります。Numeramaは、初期設定は1080pで、最大2Kまで対応する見込みだと述べています。1080pは一般的な高画質動画の基準としてよく使われるため、試作だけでなく、用途によってはそのまま素材として扱いやすくなります。(参照*3

ネイティブ音声生成とリップシンク

Seedance 2.0の特徴としてよく語られるのが、音声を後から足すのではなく、映像と同時に作る点です。Numeramaは、従来の多くの動画生成が音声を後付けするのに対し、Seedance 2.0は音声と画像を同時に生成するため、口の動きの一致(リップシンク)や場面間の整合性が上がると説明しています。(参照*3

口の動きが合わない問題は、短い動画でも目立ちます。人物が話しているのに口が閉じたまま、逆に無言なのに口が動く、といったズレです。映像と音を別々に作ると、タイミング合わせの手間が増え、ズレも起きやすくなります。同時生成は、このズレを最初から減らす考え方です。

さらに、音に合わせて動きまで作る方向も語られています。Hacker Newsの投稿では「音声駆動の動画」という主張が紹介され、音声入力のビート構造に合わせて動きが同期され、単に動画に音声を重ねるのではない点が強調されています。これは公式発表ではなくコミュニティ投稿ベースの情報なので、参考程度に扱うのが安全です。(参照*4

マルチモーダル参照入力と編集ユースケース

Seedance 2.0は、文字の指示だけでなく、複数の「参考素材」を渡してコントロールする設計が目立ちます。Wavespeed.aiは、新しい参照システムとして、生成ごとに最大12ファイルを入力でき、内訳は最大9枚の画像、最大3本の動画(各15秒以内)、最大3本の音声(各15秒以内)だと説明しています。(参照*5

この仕様は、現場の「寄せたい要素が多い」状況に合います。例えば、画像でロゴや服装と色味を指定し、短い動画で動き方を指定し、音声で話し方や声の雰囲気を指定する、といった使い方です。文字だけだと伝えにくい部分を、素材で渡す発想です。

編集寄りの使い方も示されています。Hacker Newsの投稿は、ショット間の一貫性を保ったまま動画を継続や拡張できること、既存クリップへのキャラクター差し替え、区間の挿入や削除といった編集操作が可能だと述べています。出力の長さは4〜15秒で選べるという説明です。こちらもコミュニティ投稿のため、実装状況は利用画面や公式案内での確認が前提になります。(参照*4

4〜15秒という長さは、短尺動画の部品として扱いやすい一方、長編を一気に作るというより、短い部品を積み上げる発想になります。参照入力で見た目を固定し、短いカットを複数作って比較し、つなぎ合わせて仕上げる流れと相性が良いです。

評価・ベンチマークと競合比較

評価・ベンチマークと競合比較

画質・動き・プロンプト追従の観点

動画生成の評価は、ざっくり言うと「見た目の良さ」「動きの自然さ」「指示文どおりに出るか」で見られます。Longcat Videoは、Seedance 1.5 Proについて、音声付き動画生成が可能で品質が高く、滑らかな動き、自然な音声統合、口の動きの一致の改善が特徴だと説明しています。(参照*6

同じ記事でLongcat Videoは、ベンチマークの指標としてaesthetic(見た目の良さ)、motion(動き)、alignment(指示への一致)を挙げ、競合を上回ったと整理しています。特に音声品質と同期精度で優位だという説明です。(参照*6

ここで押さえたいのは、これはSeedance 2.0そのものの点数ではなく、Seedanceシリーズの近い世代の評価だという点です。2.0を検討する場合も、評価軸としては「音声の自然さ」「口の動きの一致」「短い尺での破綻の少なさ」を優先すると、業務での判断がしやすくなります。

コスト面の目安として、Artificial AnalysisのText to Video Leaderboard(Without Audio)には、Seed Seedance 1.5 proが$1.56/分、Seed Seedance 1.0 Miniが$2.22/分といったAPI価格が掲載されています。比較表には他モデルの価格も並ぶため、社内の試算では「1分あたりの単価×作る本数×作り直し回数」を置くと見積もりが組みやすくなります。(参照*7

競合モデルとの違い

競合との比較では、品質だけでなく、配信や収益化までのつながり方も論点になります。Numeramaは、GoogleやOpenAIが依然として優位点を持ち、Sora 2は物理表現のリアルさと映画品質の面で高水準を維持していると述べています。(参照*3

一方でNumeramaは、Seedanceの戦略としてTikTokとDouyin(中国版TikTok)へ直接つなぐ点を挙げ、創作から配信、マネタイズまでの一連の流れを目指す可能性があると見ています。YouTubeとGoogle Ads(広告配信の仕組み)の組み合わせに対抗する成長要素になり得る、という整理です。(参照*3

Timeも、SeedanceやSeedreamが価格面で有利だと指摘しつつ、Kapwing共同創業者のEric Luが、出力品質・速度・コスト面で優れているとして、デフォルトのAI画像モデルをSeedanceとSeedreamに切り替えたと語った点を紹介しています。制作と配信が近いだけでなく、コスト感が導入判断に影響することが分かります。(参照*2

またTimeは、ByteDanceがNvidiaの高度なチップを使ったインフラ投資を進め、データセンター利用をマレーシアへ拡大していると報じています。生成AIは計算資源に左右されやすいため、供給体制や提供地域の話は、法人導入の継続性にも関わります。(参照*2

活用シーンとリスク

活用シーンとリスク

制作フローでの使いどころ

Seedance 2.0の使いどころは、完成品をいきなり作るより、制作の途中で「速く形にする」場面にあります。soro2.orgは、ブランド(企業の見せ方)や販売促進の文脈で、ロゴ、パッケージ、色味の調整、場面の連続性を保ちながら、製品の説明動画や主役級の動画、宣伝用の素材を作れると説明しています。(参照*8

同じ説明の中で、Dreaminaの動画生成は、複雑な制作手順を必要とせず、複数の配信先に向けた素早いバリエーション作りを可能にすると整理されています。(参照*8

例えば、同じ商品でも、縦長の短尺向け、横長の広告向け、字幕の有無、色味違い、といった派生が必要になります。参照入力でロゴや色を固定し、短い尺で何本か作って比較する流れは相性が良いです。

DX担当者の進め方としては、まずは社内の「動画が必要だが手が回らない」領域を特定し、試作本数、チェック担当、差し戻し回数の想定まで含めて小さく回すと、PoC止まりを避けやすくなります。

著作権・肖像・誤情報などの論点

性能が上がるほど、悪用や事故のリスクも現実的になります。Timeは、深層偽造(本物そっくりの偽物映像)や誤情報の拡散リスクが懸念されると述べています。また、CapCutのDreamina経由で検証した際、いくつかの指示文はコミュニティガイドライン違反として排除された一方で、現実的な映像の生成は可能だと説明しています。(参照*2

Numeramaも、ガバナンスや著作権保護の面で議論があり、ByteDanceはさらなる対応を求められていると述べています。加えて、実際の顔の使用や声の複製を制限する動きがあること、Arcane風のスタイルを模倣した動画が報告されていることも挙げています。(参照*3

制作側が押さえるべき論点は、少なくとも次の3つです。

  • 著作権: 既存作品の絵柄や表現に寄せすぎないか
  • 肖像と声: 実在人物に似せた顔や声を使っていないか
  • 誤情報: 本当に起きた出来事のように見える映像になっていないか

加えて、社内利用では「入力素材の持ち込みルール」と「公開前チェックの責任分界」を決めておくと、確認漏れを減らしやすくなります。

使い方と提供状況

使い方と提供状況

Dreaminaでの利用手順

利用の入口として名前が挙がりやすいのが、CapCutとDreaminaです。Numeramaは、Seedance 2.0がCapCutとDreaminaを通じて一般公開される見込みだと説明しています。(参照*3

実際の操作は、基本的に「素材を渡して短い尺で出す」流れになります。Wavespeed.aiは、参照入力として最大12ファイルを渡せる仕様を示しており、画像は最大9枚、動画は最大3本、音声は最大3本で、動画と音声は各15秒以内だと説明しています。(参照*5

Dreamina側でも同じ発想で、まずは参考画像で登場人物や色味を固定し、必要なら短い動画で動きを寄せ、音声が必要なら音声も渡す、という順に考えると迷いにくいです。出力が短い前提なので、長い物語を最初から一気に作るより、欲しいカットに分けて作るほうが運用に乗せやすくなります。

API提供の有無と確認ポイント

企業利用では、画面操作だけでなくAPI(他の仕組みから呼び出すための窓口)提供があるかが重要です。Numeramaは、Seedance 2.0について、開発者や企業向けにAPIや第三者連携を通じた提供も予定されていると述べています。(参照*3

一方でCometAPIは、Seedance 2.0 APIの導入準備が整ったと説明しています。(参照*1

確認ポイントは、使えるかどうかだけではありません。例えば、どの地域で提供されるか、料金がどう決まるか、出力の長さが4〜15秒の範囲なのか、参照入力の上限がどうなっているか、といった仕様が運用コストに直結します。導入前に、公式の案内と、実際に使う窓口の条件を突き合わせる作業が必要になります。

おわりに

Seedance 2.0は、ByteDanceの制作系の取り組みの中で、映像と音を一体で作る方向を強めた動画生成モデルです。マルチショットの一貫性、音声同時生成による同期、参照素材を多く渡せる設計が、短いカットを積み上げる制作に向きます。(参照*3

一方で、深層偽造や著作権、肖像と声の扱いなど、運用ルールがないと事故につながる論点も残ります。(参照*2)用途、チェック体制、提供チャネル(DreaminaかAPIか)をセットで整理できると、PoCから運用へ移しやすくなります。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、82万部(2025年3月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))

参照

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