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はじめに
Grok3は、質問に答えたり、文章やコード作りを手伝ったりできるAIです。使い方はシンプルですが、使う場所、モード、料金の考え方を押さえると、やり直しが減って結果が安定します。
この記事では、Grok3の概要、始め方、基本操作、設定のコツ、開発や業務への組み込みまでを、初心者向けに順番に解説します。企業での導入を考えている方が、PoC(試し利用)で止まらず、現場に定着させるための考え方も一緒にまとめます。
Grok3の概要とできること

Grok3の基本概要
Grok3はxAIのAIチャットボットで、会話形式で質問回答、問題解決、コーディング支援を行うと整理されています(参照*1)。「人に聞く前にまずAIにたたき台を作ってもらう」用途と相性がよいタイプです。
性能面では、数学・プログラミング・問題解決で高い性能を示すモデルとして紹介されており、代表的な評価指標の例としてAIME 93.3%、GPQA 85%、MMLU-Pro 88%、HumanEval 92%、GSM8K 95%、ARC-AGI 80%が挙げられています(参照*1)。これらは「数学の問題をどれだけ正確に解けるか」「プログラムの課題にどれだけ対応できるか」を比べる目安です。
そのためGrok3は、雑談だけでなく、手順が必要な課題や、答えの正しさが大事な作業でも使いやすいAIだと捉えると理解しやすいです。たとえば社内のレポート作成、調査メモの下書き、コードのひな形作りなどで役に立ちます。
主要機能と性能指標
Grok3は、コード生成、DeepSearch、Think Mode、Big Brain Mode、マルチモーダル対応(テキストと画像)、コンテキスト認識といった機能が紹介されています(参照*1)。社内で使うなら、まず「文章」「表」「コード」「調査の要点整理」のどれに効くかを決めると、評価がぶれにくくなります。
性能の話をもう少し具体的にすると、HPはテスト結果の例として、AIME 2025で93.3%の正確性(Full Version)、AIME 2024で95.8%の正確性(Mini Version)、Chatbot ArenaでELOスコア1,400を示しています(参照*2)。数字があると「どのくらいできるのか」をイメージしやすくなります。
一方で、導入を考えるときは「性能」だけでなく「費用」も重要です。Requestyは、1,000トークン(AIに渡す文字量の単位)あたりの料金例として、xai/grok-3-betaが入力3.00ドル・出力15.00ドル、xai/grok-3-fast-betaが入力5.00ドル・出力25.00ドル、xai/grok-3-mini-betaが入力0.30ドル・出力0.50ドル、xai/grok-3-mini-fast-betaが入力0.60ドル・出力4.00ドルと示しています(参照*3)。長文の要約や、何度もやり直す作業は出力が増えやすいので、出力単価の差が効いてきます。
企業のPoCでは、最初から高いモードを常用するより、「普段はMiniや標準」「難しい回だけThink系」のように使い分けると、費用の見通しを立てやすくなります。
Grok3の始め方

利用できる場所とログイン手順
Grok3は、grok.com、X(旧Twitter)上、GrokのiOS/Androidアプリから利用でき、xAIアカウントでサインインすると整理されています(参照*1)。まずは普段使っている端末に合わせて入口を選ぶのが迷いにくいです。
ログインできたら、画面の入力欄に質問や依頼を書いて送るだけで動きます。最初は短い質問で試してから、「目的」「条件」「出してほしい形」を少しずつ足すと、答えのずれを減らせます。
企業で試す場合は、いきなり機密情報を入れず、公開情報やダミー文書で動きを確認してから、社内ルールに沿って対象業務を広げると安全です。入力文はログに残る前提で扱い、個人情報や契約上の秘密は入れない運用から始めると進めやすいです。
無料枠と有料プランの考え方
利用形態として、無料版には利用制限があり、SuperGrokやX Premium+で制限を超えられると説明されています(参照*1)。検討のポイントは、無料か有料かを気分で決めず、用途と回数で決めることです。
たとえば「毎日少し調べ物をする」程度なら無料でも足りる場合があります。一方で「長い文章を何本も直す」「コードを何度も作り直す」など、やり取りの回数と出力量が増える使い方だと制限に当たりやすくなります。
判断しやすい進め方は、まず無料で自分の使い方を再現し、どこで止まるかをメモすることです。止まる原因が回数なのか、重いモードなのか、長文出力なのかが分かると、有料化して何が改善するかを説明しやすくなります。PoCの段階では、想定業務ごとに「1回あたりの入出力の量」と「1日あたりの回数」を見積もると、費用と効果の話がしやすくなります。
Grok3の基本操作と代表的な使い方

質問とタスク依頼の基本手順
基本は、やってほしいことを具体的に書きます。GeeksforGeeksは例として「リストをソートするPython関数を作成」のように、言語や目標を具体的に伝える流れを示しています(参照*1)。「何を」「どの形で」「条件は何か」を入れるほど、やり直しが減ります。
依頼文の型を決めると、社内でも使い回せます。たとえば「目的:」「前提:」「制約:」「出力形式:」「確認したい点:」の5つだけでも、回答の品質が揃いやすくなります。
複雑な作業にはThink Modeを有効にし、高度な問題にはBig Brain Modeを使うという整理もあります(プレミアムが必要とされています)(参照*1)。短い言い換えや要約は通常のまま、条件が多い設計や手順作りはThink Mode、といった切り替えにすると時間と費用のバランスを取りやすいです。
最後に、Grok3が返した内容はそのまま採用せず、必ず人が確認します。とくにコードは、いきなり本番に入れず、テスト用の環境で動作を確かめる流れが紹介されています(参照*1)。
学習用途の使い方
学習で使うときは、答えだけをもらうより、理解の順番を作る使い方が向きます。たとえば「中学生向けに説明して、例題を3つ出して、最後に自分で解ける練習問題を5つ作って」のように、段階を指定すると学びやすくなります。
社内教育でも同じで、いきなり業務に当てるより「用語の説明」「よくある質問への回答例」「見本となる依頼文」をセットで作ると、使う人の不安が減ります。
実例として、rpmministries.orgは、Twitter/Xで使われるAIアプリとしてGrok 3を使い、Jeremy PierreとBob Kellemenの聖書的カウンセリングのアプローチを比較し、対話形式で示すよう依頼したところ、要約はおおむね的確だったと述べています(参照*4)。このように、比較や整理を頼むと、違いが見えやすくなります。
仕事と個人プロジェクト用途の使い方
仕事や個人プロジェクトでは、結論だけでなく「前提」「選択肢」「判断の理由」をセットで出させると、後で見直しやすくなります。企画なら、目的、対象、制約、成功の条件を先に書き、案を複数出してもらう形が扱いやすいです。
業務でよくある使い方は、①議事録やメモの要点整理、②社内向け説明文の下書き、③FAQ案の作成、④簡単なデータの見方の説明、⑤コードやSQLのたたき台作りです。まずは「1つの部署」「1つの作業」に絞って、作業時間がどれだけ減ったかを測ると、横展開の材料になります。
海外の個人事例として、tremendous.blogは株式ポートフォリオ(資産の組み合わせ)の相談で、米国株と外国株の組み合わせとして60/40のUS/Foreign分割が推奨され、別の問いでは65/35も検討され、成績差は小さいという認識のうえで最終的に65/35を採用したと書いています(参照*5)。数字を置いて選択肢を比べる依頼は、検討の材料をそろえる用途で使いやすいです。
企業でも同様に、選択肢の比較はAIが得意です。ただし、会社の方針や契約条件のように、社内で決まっているルールはAIが知らないことがあります。その場合は、ルール文を短く貼り付けて「このルールに従って判断して」と書くと、回答が現場に寄りやすくなります。
機能を引き出す設定とプロンプト

DeepSearchと推論モードの使い分け
設定で迷いやすいのが、DeepSearchとThink Modeの使い分けです。GeeksforGeeksは、DeepSearchを「ウェブやXの投稿を検索し、最新の解決策を探す」機能、Think Modeを「答えを出す前に慎重に考える思考モード」として整理しています(参照*1)。情報を集めたいならDeepSearch、手順を組み立てたいならThink Modeが基本線です。
たとえば「最新の仕様変更がありそう」「エラーの解決策が新しく出ていそう」というときはDeepSearchが向きます。一方で「社内の手順書をもとに、作業手順を組み直したい」「原因候補を順に切り分けたい」というときはThink Modeが向きます。
文脈の長さも運用に関わります。Requestyは、コンテキストウィンドウは最大1Mトークンまで対応すると説明しています(参照*6)。一方でMicrosoftのDevBlogsは、Azure AI Foundry Modelsで提供されるGrokが長い文脈長131Kトークンに対応すると述べています(参照*7)。使う環境によって上限が違う可能性があるため、最初に自社の利用経路で「どのくらい長い資料を入れられるか」をテストしておくと安心です。
長い資料をまとめて渡すときは、全文を一度に入れるより、必要な部分を先に示し、目的と出力形式を固定すると、情報量が多くても崩れにくいです。
プロンプト改善と安全な検証手順
プロンプトは、長くするより「不足を埋める」順で直すと改善が速いです。出力が浅いなら条件や背景を足し、長すぎるなら文字数や見出し数を指定し、ずれているなら「何をしないか」を書きます。形を固定したいときは、箇条書きや表の形を指定すると安定します。
業務での安全面では、検証手順を決めておくと事故が減ります。たとえば、①ダミー情報で試す、②出力の根拠になった前提を確認する、③重要な数値や固有名詞は元資料に当たる、④コードはテスト環境で動かす、の順にすると、担当者が変わっても品質を保ちやすくなります。
HPは特徴として、DeepSearch、Think Mode、X Integration(Xとの連携)、Continuous Updates(ほぼ日次での改良)を挙げています(参照*2)。更新で答えが変わる前提なら、重要な作業では依頼文を保存し、結果が変わったときに差分を確認できる形にしておくと検証がしやすいです。
トラブルシューティングとして多いのは、答えがずれる、長すぎる、根拠が薄い、の3つです。ずれる場合は前提が足りないことが多いので、対象読者、使うデータ、禁止事項を書き足します。長すぎる場合は文字数と見出し数を指定します。根拠が薄い場合は、DeepSearchを使うか、参照してほしい資料のURLや抜粋を渡して、どこを根拠にしたかを明示させると確認が楽になります。
開発・業務への組み込み

Azure AI Foundryによる利用
MicrosoftのDevBlogsは、MicrosoftとxAIがGrok 3とGrok 3 MiniをAzure AI Foundry Modelsで提供開始し、安全でスケーラブルな環境で利用でき、GitHubモデルでも試用可能な無料プレビュー期間が2週間始まると説明しています(参照*7)。業務で試すなら、まずこのような枠で小さく検証し、使える場面と危ない場面を切り分けると進めやすいです。
同じくMicrosoftのDevBlogsは、Azure AI Foundryで標準の従量課金(Pay-Go)やPTUデプロイメントを通じて導入・運用を柔軟に行え、内容の安全性管理、監視、Azure MonitorやApplication Insightsとの統合、OpenTelemetry準拠のトレース、継続的な評価ツールも使えると述べています(参照*7)。社内で使うときは、誰が何を入力し、何が出力されたかを追える形にしておくと、後から説明しやすくなります。
また、PoCを本番に近づけるには、技術だけでなく運用も決めます。たとえば、対象業務、入力してよい情報の範囲、最終確認者、保存してよい出力物の場所を先に決めると、現場で止まりにくくなります。
OpenAI互換APIと開発ツール連携
開発でつなぐときは、設定項目を先に固定すると迷いません。Requestyは、Requesty Routerでの統合例として、ベースURLをhttps://router.requesty.ai/v1に設定し、モデルはxai/grok-3:betaやxai/grok-3-mini:beta、深層推論用にはxai/grok-3:beta-thinkやxai/grok-3-mini:beta-thinkを指定し、AuthorizationヘッダはOpenAI互換のBearerトークン形式を使うと説明しています(参照*6)。OpenAI互換は、OpenAIのAPIと似た形で呼び出せるという意味なので、既存の道具に組み込みやすい発想です。
OpenWebUI、Cline、Roo Codeなどのツールで同じ設定の考え方で使えることも説明されています(参照*6)。開発チームでは、まずはツールを1つ決め、依頼文テンプレートとモデル選びを標準化すると、品質のばらつきが減ります。
Azure側でのデプロイ例として、suraj.ioは環境変数でMODELをgrok-3、MODEL_VERSIONを1、MODEL_FORMATをxAIにする手順断片を示しています(参照*8)。実装では、小さな入力で疎通確認をし、次に長文や複雑な依頼を流して、時間、費用、出力の安定性を順に確認すると事故が減ります。
業務自動化でよくある落とし穴は、AIの回答だけで処理を終わらせてしまうことです。最初は「下書きはAI、人が承認して反映」という形にし、承認の条件を明文化していくと、無理なく自動化の範囲を広げられます。
おわりに
Grok3の使い方は、入口でログインし、依頼文を具体的に書き、必要に応じてDeepSearchやThink Modeを切り替えるのが基本です。性能指標や料金の数字を知っておくと、どの作業を任せるかの判断がしやすくなります。
企業利用では、いきなり大きく始めるより、対象業務とルールを決めて小さく試し、入力の安全、出力の確認、効果測定までをセットにするとPoCで止まりにくくなります。
まずは短い依頼で試し、うまくいった依頼文を保存して再利用してください。慣れてきたら、学習の比較整理、仕事の案出し、開発での組み込みへと広げると、Grok3を無理なく使いこなせます。
監修者
安達裕哉(あだち ゆうや)
デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、82万部(2025年3月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))
参照
- (*1) GeeksforGeeks – Grok 3: The Next Generation of AI
- (*2) Grok 3: A Complete Guide to Elon Musk’s New AI | HP® Tech Takes – Hong Kong
- (*3) Requesty – Introducing Grok 3: xAI’s Flagship Model for Enterprise AI
- (*4) RPM Ministries – Comparing the Biblical Counseling Approaches of Jeremy Pierre and Bob Kellemen
- (*5) Tremendous – Using Grok 3 to Manage My Stock Portfolio
- (*6) Requesty – Grok 3 with Requesty Router: Quick Integration Guide
- (*7) Microsoft Foundry Blog – Announcing Grok 3 and Grok 3 Mini on Azure AI Foundry
- (*8) Suraj Deshmukh – Deploying Grok-3 on Azure: A Complete Guide to Running xAI's Latest Model