Grokのspicyモードとは?AI性能を徹底解説

2026.02.17

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Grokのspicyモードとは?AI性能を徹底解説

はじめに

Grokは、xAIが提供する生成AIで、X(旧Twitter)や専用アプリから利用できます。最近は文章だけでなく、画像や動画を作る機能(Grok Imagine)も広がり、その中に「spicy」という雰囲気(プリセット)があります。

一方でspicyは、実在人物の画像を本人の同意なく性的に加工できてしまう懸念とセットで語られやすく、企業での利用では「便利さ」だけで判断しにくい機能です。

この記事では、spicyの位置づけ、使い方、性能の見え方、問題になっている点、各国の対応、そして業務で触れる場合の注意点を、中学生でも追える言葉で整理します。

Grokのspicyモードの概要

Grokのspicyモードの概要

spicyモードの位置づけ

spicyは、Grokの画像・動画生成機能「Grok Imagine」で選べる雰囲気(プリセット)の1つです。SHIFT AIは、2026年2月2日に「Grok Imagine 1.0」が正式発表され、雰囲気を「Spicy」「Fun」「Normal」の3種類から選べると整理しました。(参照*1

spicyは「刺激的」「成人向け寄り」の表現を狙う選択肢として説明されることが多い一方で、性的な内容や、実在人物の加工に悪用される問題が指摘されています。Harper’s BAZAARは、Imagineの一部として「Spicy Mode」があり、示唆的な表現や部分的なヌードを含む内容を作れるとされていると伝えました。(参照*2

企業目線では、spicyは「映像表現の自由度が上がる」機能である一方、社内規程・取引先の信用・法令順守に直結しやすい領域だと捉えるのが現実的です。

提供形態と料金プラン

spicyは、誰でも無条件に使えるわけではありません。Harper’s BAZAARは、spicyモードは無料では利用できず、「Premium+」や「SuperGrok」などの有料プランへの加入が必要だと説明しました。(参照*2

ただし提供のされ方は固定ではなく、国や時期、アプリ/Webの違いで見え方が変わることがあります。NPRは、XがGrokのAI画像生成機能を料金登録者のみに制限する措置を取ったと伝え、月額は8ドルと報じています。(参照*3

PBSは、Grokの「spicy mode」が過激な内容の作成を許可しているとして反発を招き、マレーシアとインドネシアがアクセスをブロックする法的措置を取り、フィリピン当局も同様の対応を検討していると報じました。(参照*4

つまり「自社の端末では使えた/使えない」が起きやすいので、社内で触る場合は、利用国・端末・契約プラン・設定を前提として整理しておくと混乱が減ります。

Grok Imagineにおけるspicyモードの使い方

Grok Imagineにおけるspicyモードの使い方

生成フローと操作手順

Grok Imagineのspicyは、いきなり動画を作るというより、まず画像を作ってから動画にする流れが基本として紹介されることが多いです。ASCII.jpは、画像生成の後に動画を作成できる流れが特徴で、選んだ画像で「動画を作成」を押すと、プロンプトなしで動画が作成され、音声や音楽、効果音が付くと説明しました。(参照*5

操作のイメージは次の通りです。

  • テキストで画像を生成する
  • 画像一覧から動画にしたい画像を選ぶ
  • 動画生成モードでNormal/Fun/Spicyを選ぶ

ai-nante.comは、spicyモードは「テキストから直接動画」ではなく「画像を作ってから動画」の2段階で、プロンプトは英語・日本語どちらでもよいと説明しています。(参照*6

業務用途で試すなら、まずは「人物を使わない素材(風景、製品、抽象的な背景)」で、通常のNormalと同じ手順でspicyに切り替えたときの差を確認すると、リスクを増やさずに把握できます。

表示条件とトラブルシューティング

spicyが見当たらないときは、条件を1つずつ切り分けるのが近道です。MiraLabは、アプリの更新、再ログイン、再起動に加えて、年齢設定、センシティブ設定、地域、サブスク要件、さらにiOS/Android/Webでの提供状況の差を順に確認するとよいと整理しました。(参照*7

エラーが出る場合も、慌てずに原因を絞れます。MiraLabは、通信環境とアプリが最新版かを確認し、うまくいかないときはNormalへ切り替えると安定する場合が多いと説明しています。(参照*7

企業でよくあるのは「個人端末では表示されるが、社給端末では表示されない」ケースです。その場合は、MDM(端末管理)や年齢・センシティブ設定のポリシー、国設定、アプリの利用許可が影響している可能性があるため、IT部門の管理条件もあわせて確認すると整理しやすくなります。

spicyモードのAI性能と表現範囲

spicyモードのAI性能と表現範囲

画質と動画品質

Grok Imagine 1.0の性能面は、まず動画の仕様が分かりやすいです。SHIFT AIは、最大10秒・720pの高解像度動画を生成でき、映像と音声を同時に出力すると説明しました。(参照*1

同じくSHIFT AIは、ベンチマークでText-to-Video LeaderboardとImage-to-Video Leaderboardの両方で1位を獲得したと述べ、解像度が720pまで上がって細部が鮮明になった点も挙げています。(参照*1

一方、実際の使い心地は「どの端末で」「どの設定で」「どの素材を使うか」で大きく変わります。社内検証では、同じプロンプトでも結果が変わり得る前提で、検証ログ(日時、端末、設定、プロンプト)を残すと比較がしやすくなります。

プロンプト追従性と生成傾向

動きの指示がどれだけ通るかも、使い心地を左右します。ASCII.jpは、テキストを入力して動きを指示でき、プロンプトへの忠実度が高く複雑な指示にも対応すると説明し、「女性が激しいジャンプで、木々の枝を掴んで飛び上がり、木のてっぺんから隣のビルへ飛び移る」という指示を3回繰り返した例も紹介しました。(参照*5

ただしspicyの表現は何でも通るわけではありません。ai-nante.comは、露出の高い表現を最初から指定すると厳しく弾かれるケースが多く、トップとボトムの描写は下着程度までになることが多いと説明しています。(参照*6

企業での実務に寄せて言い換えると、spicyは「説明文どおりの出力が必ず出る」機能ではなく、制限や調整が入り、しかも更新で挙動が変わり得ます。したがって、社外公開物に使う場合は、生成物の目視チェックと、権利・表現上の確認を工程として組み込む方が安全です。

spicyモードをめぐる問題点と悪用事例

spicyモードをめぐる問題点と悪用事例

非同意の性的画像生成

問題の中心は、本人の同意がないまま性的な画像を作れてしまう点です。HuffPost日本版は、xAIが2025年12月末に導入した新しいAI画像編集機能によって「脱衣」問題が表面化し、元の投稿者の許可なしに編集ボタンを押すだけで画像を即座に編集できるようになったと伝えました。(参照*8

HuffPost日本版はさらに、この新機能により、誰もが簡単かつ無料で、画像を小さなビキニ姿や性的なポーズなどに加工できたと説明しています。(参照*8

同記事では、AI検出ツールを提供するCopyleaksが「画像から衣服を取り除く」流れの始まりについて、アダルトコンテンツのクリエイターの宣伝目的の利用がきっかけになった可能性を示したと伝えています。(参照*8

また、ディープフェイク自体の増加も背景にあります。HuffPost日本版は、サイバーセキュリティ企業DeepStrikeの見立てとして、ディープフェイクが2023年の約50万件から2025年には約800万件へ急増し、年間900%の割合で増加したと伝えました。(参照*8

企業では、社員の顔写真、採用ページの写真、イベント写真などがネット上にあるだけで「素材」として悪用される可能性が出ます。社外に出す写真の扱いと、問い合わせ窓口(削除依頼の手順)を用意しておくと、実害を減らしやすくなります。

X上の拡散とインセンティブ構造

X上では、作り方そのものが「やり取り」として広がりやすい構造があります。The Guardianは、ダブリンのトリニティ・カレッジ(アイルランドの大学)の博士研究者が収集・分析した投稿の約4分の3が、実在する女性や未成年者の衣服を脱がせた画像の非同意的なリクエストだったと報じました。(参照*9

The Guardianは、女性の下着姿や水着姿、返信で外衣を脱ぐよう求める指示などが、X上のプロンプトのやり取りとして積み上がっていく様子も述べています。(参照*9

業務での注意点は、社内で試した生成物が、意図せずSNSに出ると「手順ごと拡散される」ことがある点です。検証用アカウントの権限管理や、公開範囲のルールを先に決めておくと運用が安定します。

被害と社会的影響

被害は気分の問題だけで終わりません。ClassAction.orgは、訴状の説明として、深偽画像が被害者の潜在的な収入にも影響し、無給で5時間を失ったとする主張があると伝えました。(参照*10

ClassAction.orgはさらに、2025年12月から2026年1月にかけてGrokが公開した画像は約440万枚で、そのうち約41%が女性の性的画像だったとする主張も紹介しています。(参照*10

企業のDX推進担当者の立場では、被害が起きると「採用・広報・取引先対応」まで一気に波及する可能性があります。技術の話だけでなく、法務・広報・人事と連携して、初動(通報、削除依頼、説明文の雛形)を整えると対応が早くなります。

各国の規制動向とxAI・Xの対策

各国の規制動向とxAI・Xの対策

政府対応と調査

各国の当局は、違法性や権利侵害の観点から動いています。Yahoo!ニュースは、英国の情報通信庁Ofcomが1月12日に正式な調査を開始し、違反が確認された場合は最大1800万ポンド(約37億円)または全世界売上高の最大10%の罰金が科される可能性があると伝えました。(参照*11

同じYahoo!ニュースは、日本政府についても、林芳正総務大臣が1月9日の記者会見で、Grokによる性的画像加工は「肖像権、名誉権、プライバシーなど他人の権利を侵害する場合がある」と述べ、総務省としてXに適切な対応を促すと説明したと報じました。(参照*11

規制の動きは欧州だけではありません。PBSは、米カリフォルニア州司法長官Rob Bontaが、Grokの編集機能による女性や少女への嫌がらせを防ぐようxAIに求めたと伝えています。(参照*4

企業側としては、海外拠点のある組織ほど「国ごとにOK/NGが変わる」前提になります。利用可否を現場任せにせず、利用国と用途で線引きを作る方がトラブルを減らせます。

技術的対策と課金制限

X側も、画像編集の乱用を抑えるための制限を入れています。PBSは、Xが「露出した衣装(ビキニ、下着、その他露出度の高い衣装)を着た現実の人物の画像編集を行わない」ための技術的対策をGrokアカウントに実装したと述べたと伝えました。(参照*4

PBSはまた、この規則は有料購読者を含む全ユーザーに適用され、さらに法令やポリシー違反の乱用を防ぐため、画像の作成・編集を有料購読者に限定する措置も取られていると報じています。(参照*4

ただし「制限が入った=安心」とは言い切れません。WIREDは、1月14日(米国時間)にXが実在人物をビキニや露出の多い服装に加工・生成することを禁止した一方で、スタンドアロンのGrokアプリやウェブサイトでは依然として脱衣型の画像やポルノ的コンテンツを生成できることがテストで確認された、と報じています。(参照*12

企業の実務では、対策が追いつくまでの間は「使わない」判断も現実的です。どうしても触れる場合は、実在人物の生成・編集を避け、社内の検証環境と公開環境を分けると事故が起きにくくなります。

安全に使うための設定と運用

安全に使うための設定と運用

年齢確認とNSFW設定

spicyを使う前提として、年齢やセンシティブ設定、そして地域やプラン条件が絡みます。Tenorshareは、spicyを表示・使用する前に、サブスクリプションとプラン条件、対応プラットフォーム、年齢確認とNSFW設定(成人向けの可能性がある内容を扱う設定)の有効化といった要件を満たす必要があると説明しました。(参照*13

ただし、年齢確認が十分かは別問題です。S-VPA(団体サイト)は、Grokが使用前に生年を問うものの年齢確認は不十分で、App Storeには12+のレーティングが付いていると述べています。(参照*14

運用面では、作る素材と共有の仕方が重要です。MiraLabは、違法・著作権侵害・実在人物の不適切利用は厳禁で、元画像は著作権を侵害しない素材を使い、露出度の高い動画を共有する場合はセンシティブ設定を付け、不特定多数へ公開しない配慮が必要だと説明しました。(参照*7

MiraLabはさらに、生成結果は自己責任で確認し、不適切な内容は破棄するといった扱い方も挙げています。(参照*7

企業での最低限の運用ルールを、平たくまとめると次の3点です。1つ目は、実在人物(社員、顧客、著名人を含む)を素材にしない。2つ目は、生成物を社外に出す前に、法務・広報の確認を通す。3つ目は、プロンプトや生成物の保存先と閲覧権限を決め、勝手に共有されないようにする。

また、生成AIの安全性は「出せなかった」ことの証拠が残りにくい点が課題になります。VeritasChain Standards Organization(VSO)は、AIシステムが有害なコンテンツの生成を拒否したことを暗号学的に証明する仕組み「Safe Refusal Provenance(SRP)」を含むCAP v0.2を公開したと発表しています。(参照*15

Grokのspicyを業務で扱うなら、こうした「拒否や生成の記録」を残す考え方も参考になります。実装は別としても、社内の検証ではログを残し、説明できる状態にしておくと、PoC止まりになりにくくなります。

おわりに

Grokのspicyは、Grok Imagineで雰囲気を切り替える選択肢として提供され、画像から動画へつなぐ流れの中で使われます。SHIFT AIは、Grok Imagine 1.0が最大10秒・720pの動画を生成できると説明しており、性能面の注目も集まっています。(参照*1

一方で、本人の同意がない性的画像生成や拡散が問題になり、英国Ofcomの調査開始や、国ごとのアクセス制限、提供側の制限強化が進んでいます。(参照*11)(参照*4

企業で触れる場合は、年齢・センシティブ設定・地域・プラン条件といった表示条件の確認に加えて、実在人物の扱い、著作権、公開範囲の管理をセットで設計すると、導入判断と運用がしやすくなります。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、82万部(2025年3月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))

参照

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