生成AIの利用経験、日本の小学生が50.4%。丸投げは5.8%の理由

2026.09.25

WorkWonders

生成AIの利用経験、日本の小学生が50.4%。丸投げは5.8%の理由

この記事のまとめ

『コロコロコミック』読者らへのアンケートによると、生成AIの利用経験がある小学生は50.4%に達しました。宿題での使い方については「そのまま使った」が5.8%にとどまり、「ヒントにして自分で書いた」の16.4%を下回る結果です。大人側の利用も広がるなか、本記事では小学生の利用実態と今後の課題を3つの要点で整理します。

  • 生成AIの利用経験がある小学生は50.4%で、用途では調べものや会話が上位です。
  • 宿題では71.8%が「使ったことはない」と答え、答えの丸投げは5.8%です。一方、63.0%の子どもが思考力への影響を心配していました。
  • AI生成の動画や画像を本物と信じた経験は46.0%あり、家庭内ルールは65.2%が「決めていない/わからない」と回答しています。

小学生の生成AI利用経験の実態

小学生の生成AI利用経験の実態

利用経験50.4%の調査概要

読者アンケートの結果から、小学生の約半数に生成AIの利用経験があることが分かりました。2022年末のChatGPT登場から3年余りで、ここまで子どもへの浸透が進んだことは、率直に言って私も驚きました。

小学館の『コロコロコミック研究所』アンケートにおいて、全回答者752人に「AI(ChatGPT・Gemini・Claude・Grokなど)を使ったことはある」と尋ねたところ、50.4%が「使ったことがある」と回答しています。調査期間は2026年6月15日から7月14日までで、調査対象は『コロコロコミック』読者またはその家族、WEBアンケート方式による自社調査の集計数は752です(参照*1)。なお、この50.4%という数値は雑誌の読者とその家族から得られた結果です。

小学生の主な使い道

主な使い道としては、学習よりも調べものや会話が中心となっています。

同調査において、AIの利用経験がある379人へ「どんなことに使ってる」と複数回答で尋ねた結果、主な回答4項目は次のとおりです(参照*1)。

  • 「知りたいこと・調べものを聞く」:74.9%
  • 「遊びやゲームのことを聞く」:38.0%
  • 「会話・暇つぶしの相手になってもらう」:31.1%
  • 「勉強や宿題を手伝ってもらう」:21.6%

複数回答のため1人で複数の用途を選んでいるケースもありますが、学習目的での利用は、調べものや娯楽に比べると少数派であることがうかがえます。これは大人の利用傾向とも近く、「まず触ってみる」入口が学習よりも娯楽的な会話や検索から始まるのは、ある意味で自然な流れです。

他調査に見る子どもの利用状況

子どもの利用率は、調査の対象者や質問の設計によって数値に幅が見られます。複数の調査を並べる際には、母集団と設問の違いを確認することが先決です。

東京都教育委員会の公表によると、家庭でインターネットを用いて学習する際に生成AIを「使ったことがある」児童・生徒の割合は、令和7年度に38.0%となり、前年度の16.9%から2倍以上に増加しました(参照*2)。

博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所の記事では、全国の小学1年生から中学3年生1500名を対象とした「α世代のメディア生活調査2026」と、利用経験のある小中学生8名へのインタビューを基に分析を実施しています。α世代全体では7割が生成AIを認知しており、利用経験者は35.1%でした。中学生に限定すると51.1%が利用しています(参照*3)。

東京都の調査は家庭学習の場面に絞ったもので、対象も都内公立校の児童・生徒に限られるため、単純な数値の高低だけで比較することはできません。

宿題での使い方と丸投げ5.8%

宿題での使い方と丸投げ5.8%

宿題利用の内訳

宿題での利用は「使わない」層が多数を占めており、使う場合もヒントとしての活用が中心です。

『コロコロコミック研究所』のアンケートにおいて、AIの利用経験がある379人に「AIを宿題でどのように活用している」と複数回答で聞いたところ、「宿題にAIを使ったことはない」が71.8%で最多となりました。「AIの答えはヒントにして、文章は自分で考えた」は16.4%で、「AIの答えをそのまま使った」の5.8%を大きく上回っています(参照*1)。

あわせて「今年の夏休みの勉強や宿題で、AIをどう使いたい」かも複数回答で質問しています。最多は「AIを使わない」の58.6%でしたが、具体的な用途としては「自由研究や絵日記のアイデア・テーマを相談する」が23.7%で最も支持を集めました(参照*1)。

丸投げが少ない背景

丸投げの少なさに関連して、子ども自身の懸念と保護者の慎重な姿勢を示す調査結果があります。

同アンケートの全回答者に対して「AIに宿題を手伝ってもらうと、自分で考える力はどうなると思う」と質問したところ、「考える力が弱くなりそうで心配」が63.0%で最多を記録しました(参照*1)。

別の調査では、自由研究に取り組んだ家庭に子どもへ生成AIの利用を勧めたかを尋ねており、「すすめた」は9%、「すすめなかった」は73%でした(n=161)。この割合は前年の調査結果とほぼ同水準とされています。なお該当記事では、全体の利用調査と自由研究の調査は実施時期および回答母集団が異なるため、66%と9%を同一基準で単純比較できない旨が注記されています(参照*4)。

これらは独立した調査結果であり、懸念の声がそのまま宿題での利用姿勢を決定づけているとまでは断定できません。

ヒント活用と大人の使い方の近さ

ヒントの獲得や相談相手としての活用法は、教育現場向けの資料や大人の使い方とも共通します。私自身、AIに下書きを出させてから自分で直すという協働スタイルを日常的に使っていますが、小学生がヒントとして使い自分で書き直すというやり方は、本質的に同じ発想です。

文部科学省のガイドラインでは望ましい活用例として、生成AIの活用法を学ぶ目的で作成途中の文章をAIに修正させ、それを「たたき台」にして推敲を重ねたうえで、校閲機能を用いて修正過程ごと提出する手法が示されました(参照*5)。

クロス・マーケティングの資料によれば、私生活や趣味における利用項目の上位は仕事用途と重なっており、5番手以降に「日常的な会話や雑談の相手」「悩み相談の相手」といった対話相手としての活用が続きます(参照*6)。

なお、同ガイドラインの記述は、教職員や教育委員会などの学校教育関係者を主対象とした参考資料の中で例示されたものです。

大人の利用経験との比較

大人の利用経験との比較

大人側の生成AI利用も急速に拡大しており、検索用途での利用率は初めて50%を突破しました。私が生成AIを毎日のように使い始めた頃と比べると、ユーザー層の広がりは別次元の水準に達しています。

サイバーエージェントは9月4日、「生成AIのユーザー利用実態調査」の2026年8月期結果を発表しました。AI Modeを含む生成AIの検索利用率は52.3%に達し、2025年5月の調査開始以来、初めて半数を超える結果です。2025年5月の初回調査時における21.3%から、約1年3カ月で31ポイント上昇しました。

対照的に検索エンジンの利用率は86.9%となり、2025年5月の91.9%から緩やかに下降しています。本調査は8月7日から10日にかけて、全国の15〜69歳男女9278人を対象にウェブ上で実施されました(参照*7)。

第一生命経済研究所のレポートによると、総務省「情報通信白書 令和8年版」において、2025年度の調査で生成AIを「使っている(過去使ったことがある)」と答えた人は58.8%にのぼりました。前年度の26.7%から、わずか1年で利用経験者の割合が2倍以上に伸長しています(参照*8)。

保護者層を対象としたデータも存在します。2026年7月の利用調査では66%の保護者が生成AIを利用しており、「1年前より利用が増えた」との回答は95%に達しました(n=452)(参照*4)。

これらは15〜69歳や保護者を対象にした調査であり、小学生向けの読者アンケートとは設問も異なります。ただ、保護者の66%が利用し「1年前より増えた」と95%が答える状況では、家庭内でAIが話題に上がる機会も自ずと増えます。子どもの利用拡大は、大人の利用拡大と切り離して考えられません。

不安・誤認とリテラシーの課題

不安・誤認とリテラシーの課題

AI生成物の誤認経験

AIが作成した画像や動画を本物と信じ込んでしまった経験は、半数近くに達しています。この数字は、私が強く問題視している点と重なります。文章がうまく見えるほど内容も正しいと錯覚しやすいように、画像や動画もリアルに見えるほど判断が難しくなります。

『コロコロコミック研究所』アンケートで「AIが作った動画や画像を『本物だ』と思って信じてしまったことはある」と聞いたところ、「何度かある」が33.5%、「一度だけある」が12.5%となり、計46.0%の小学生に誤認経験がありました(参照*1)。

真偽を見分ける工夫に関して示された回答は3つです(参照*1)。

  • 「見た目が変なところをさがす(指の数・文字など)」:26.9%
  • 「おうちの人や友だちに『本物か』聞く」:23.2%
  • 「とくに何もしていない」:28.2%

一方で、「とくに何もしていない」が28.2%という数字は気になります。指の本数や文字の乱れを探すという方法は現時点では有効ですが、生成AIの画像品質は急速に向上しており、近い将来には見た目での判別が難しくなるでしょう。「疑う習慣」そのものを身につけることが、特定の検出スキルより長持ちする力です。

家庭のルールと情報源

家庭内のルールは未定とする回答が多く、AIに関する情報の窓口は家族が最多を占めています。ルールが65.2%も未設定という数字は、子どものせいでも学校のせいでもなく、大人側の整備が追いついていないことを示しています。

同調査において「おうちでは、AIを使うことについてどんなルールがある」と質問したところ、65.2%が「ルールを決めていない/わからない」と回答しました。「使うのは禁止されている」との回答は7.4%にとどまります(参照*1)。

さらに、利用経験のある379人を対象に「AIのことを知ったり使い方を調べたりするとき、どこから情報を見ている」と複数回答で尋ねた結果、上位3項目は次のとおりです(参照*1)。

  • 1位「おうちの人」:41.4%
  • 2位「YouTube」:26.6%
  • 3位「学校の先生・友だち」:25.1%

なお、ルールの設問は全回答者が対象であり、情報源に関する設問は利用経験者379人を母数としています。

家庭と学校での向き合い方

家庭と学校での向き合い方

学校現場のガイドラインの考え方

学校向けの公的資料では、小学校段階における利活用に対して慎重な見極めを求めています。ガイドラインの方向性は妥当だと思いますが、現場の教員が十分に使いこなせるかどうかは、別の問題です。

文部科学省のガイドラインは、小学校段階の児童が直接利用することに関して、発達段階などを考慮した慎重な見極めが必要であると指摘しました。そのうえで、情報モラル教育やプログラミング教育の一環として、教員によるAI対話例を数多く提示することなどを通じて基本事項を学び、体験の蓄積を通じて冷静な態度を養うことが肝要であるとしています(参照*5)。

不適切と考えられる例も提示されています。生成AI自体の特性や利点・課題に関する学習が不十分なまま、情報活用能力が未発達の段階で自由に使わせることはその一例です。

また各種コンクール作品やレポートにおいて、AIによる生成物をほぼそのまま自身の成果物として提出する行為も挙げられ、応募を推奨する際は要項に基づいた綿密な指導が必要とされています。本ガイドラインは教職員や教育委員会などの関係者を主な読者とし、基本的な考え方を取りまとめた参考資料であり、学校での利活用を一律に禁止または義務付けるものではないと明記されています(参照*5)。

情報教育をめぐる今後の動き

教材の整備や学習指導要領の改訂など、情報教育をめぐる環境整備も着実に進展しています。ただし、制度の整備と現場への定着の間には常にタイムラグがあります。

東京都教育委員会では、生成AIの特性や留意点を正しく把握して活用する力を養うため、独自のリテラシー教材を都内公立学校へ配付し、授業等での活用を促進しています(参照*2)。

また文部科学省は、2026年8月31日に「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)」を公表しました。改訂の柱として情報活用能力の抜本的向上が掲げられ、中学校への新教科「情報・技術科」の設置や、各教科におけるAI技術の進展に応じた内容の充実が盛り込まれました。情報教育は前倒しで先行実施され、小学校の「情報の領域」は2028年度、中学校の「情報・技術科」は2029年度からの導入が見込まれています(参照*9)。

ただし、これらは素案段階の計画であり、実施時期も含めて今後の検討により変更される可能性があります。制度が整うまでの間も、子どもたちはAIを使い続けます。家庭と学校が待ちの姿勢でいられる状況ではないと、私は考えています。

おわりに

『コロコロコミック研究所』の調査では、AIの利用経験がある小学生が50.4%に達しました。一方で、夏休みの宿題において58.6%が「AIを使わない」と答え、63.0%が「考える力が弱くなりそう」と懸念を抱いています(参照*1)。この懸念そのものは正しい問いです。私が生成AIを文章作成に使い続けて感じるのも、何も考えずに出力を受け取るだけでは、確かに思考の機会が失われるということです。

宿題における利用の実態では、出力結果をそのまま使う回答より、アイデアのヒントとして自ら文章を組み立てる回答のほうが多くなりました。それと同時に、AI生成物の誤認経験が46.0%に達し、家庭内ルールの未設定が65.2%に及ぶなど、リテラシー面での課題も浮き彫りになっています(参照*1)。重要なのは、「使う・使わない」を決めるより先に、何を自分で判断すべきかを理解させることだと思います。AIの出力をそのまま信じない姿勢は、子どもだけでなく大人にも必要なリテラシーです。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、95万部(2026年6月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))

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