商用利用前に確認!画像生成AIの著作権問題とは?

2025.11.29

WorkWonders

商用利用前に確認!画像生成AIの著作権問題とは?

はじめに

近年、画像生成AIは急速に進化し、一般のユーザーでも高品質なビジュアルを容易に作成できるようになっています。企業のSNS投稿や広告バナー制作など、ビジネス現場での活用も広がっています。一方で、技術の発展に伴い、生成画像の著作権が誰に帰属するのか、既存作品との類似による訴訟リスクなど、法的な課題への関心も高まっています。特に商用利用の場面では、画像生成AIの導入が新たな価値をもたらす一方で、リスクも伴うため、正しい理解が求められます。本記事では、画像生成AIの著作権問題を中心に、基本知識から法的リスク、実務対応のポイントまでを整理します。

画像生成AIをビジネスに活用しようと考えている方にとって、権利問題への正しい理解は欠かせません。海外では大規模な著作権訴訟が発生した事例もあり、日本国内でも今後の規制やガイドラインが注目されています。実務現場で明確な対策を講じないまま利用を進めると、予期しない紛争に巻き込まれるリスクがあります。まずは、権利保護の現状や画像生成AIの特徴を再確認し、商用利用に向けた注意点を順に見ていきます。

画像生成AIの著作権問題の基本

本章では、画像生成AIの著作権に関する基本的な考え方として、学習データの扱いと商用利用時の注意点に焦点を当てます。生成AIがどのように作品を分析し、新しいコンテンツを生み出しているのかを理解することで、潜在的な権利問題を把握しやすくなります。

学習データの影響

画像生成AIは、大規模なデータセットを解析し、文字や画像など多様なメディアを学習して新たな創作物を生み出します。2016年の深層学習技術の進歩により、AIは自動的に学習する手法を大きく発展させ、2022年のChatGPTなどの登場につながりました(参照*1)。

学習に利用される画像やテキストが著作権で保護されている場合、その取り扱いを誤ると、生成された成果物にも侵害要素が含まれる可能性があります。学習データの性質や入力情報によっては、権利侵害が生じることが指摘されています(参照*2)。新たに創作されたように見える画像でも、元素材の特徴を多く含むケースがあり、複数画像の要素が組み合わさると、どの部分が誰の権利に関わるのか判断が難しくなります。学習段階での権利確認は、利用者にとっても重要な課題です。

商用利用時の著作権

画像生成AIを商用利用する際、生成された画像の著作権がどこに帰属するかが大きな争点となります。ユーザーがプロンプト(AIへの指示文)を入力して生成した作品は、誰の“創作”とみなされるかが曖昧です。AIが専門的クリエイターの役割を代替する場面が増えることで、従来の市場構造が大きく変わる可能性も指摘されています(参照*1)。

日本では、ポケモンや初音ミクといったキャラクターを中心に多様なメディア展開が行われ、ファンコミュニティも世界的に広がっています(参照*1)。こうした著名な知的財産を用いる際は、権利者の許諾が必須です。画像生成AIで類似キャラクターを作成した場合でも、商標や著作権の侵害リスクがあるため、注意が必要です。生成画像がフリー素材であっても、他社デザインの流用がないか確認することがポイントです。

画像生成AI商用利用における法的リスク

この章では、画像生成AIを商用利用する際に考慮すべき法的リスクについて解説します。規制動向と倫理面の両方から、問題の複雑さを理解することが求められます。

規制動向

欧州では2024年8月に欧州AI規則が発効し、段階的に施行される予定です。企業が画像生成AIを活用する際の安全基準や透明性の確保が求められ、規制の厳格化が進んでいます。日本国内でも2024年4月にAI事業者ガイドラインが公表され、事業者が意識すべきルールが明確化されつつあります(参照*2)。

また、AIサービスの信頼性を高めるため、ISO/IEC 42001などのAIマネジメントシステム認証の導入も進んでいます。これにより、AIのリスク管理やガバナンス体制の整備が国際的な基準として求められるようになっています。

一方、Adobeの調査によると、顧客の71%が個別化された体験を求め、76%がその企業からの購入を優先する傾向があると報告されています(参照*3)。企業は短期間で大量のクリエイティブ制作を求められ、生成AIの利用機会が増加しています。しかし、規制上の義務を満たさない活用を続けると、新サービスの差し止めや罰則のリスクも高まります。特に広告やSNSでの発信はスピード重視で進むため、権利確認が疎かになる恐れも指摘されています。規制違反が現実化した場合、ブランドイメージの低下や損害が生じる可能性があるため、事前のリスク対策が重要です。

倫理的責任

画像生成AIの商用利用では、法規制だけでなく倫理的な責任も問われています。学習データとなったクリエイターの作品や権利を尊重しない姿勢は、業務上の都合を優先していると批判される可能性があります。また、生成物が誤った情報や差別的な表現を含む場合、企業の社会的信用を損なうリスクもあります。

実際に、Getty ImagesがStability AIを訴えたケースや、複数の集団訴訟が発生しています(参照*4)。これらは著作権の問題だけでなく、AI技術の透明性や公平性をめぐる倫理課題を浮き彫りにしました。日本でも災害記念展示でのAI活用や、ゲームサイトの背景画像の正当性が疑問視されるなど、社会的責任が一層重視されています。企業がユーザーと良好な関係を築くには、法令遵守や権利保護だけでなく、誠実な情報開示と配慮ある対応が求められます。

利用規約と権利管理の重要性

本章では、主要な画像生成AIサービスの利用規約や権利帰属の管理について確認し、商用利用時の注意点を整理します。規約を理解せずに利用を拡大すると、思わぬトラブルに直面する恐れがあります。

主要サービスの契約条件

Adobeが提供するFireflyは、2023年3月のベータ開始後、同年9月から日本国内でも商用利用が解禁されました。Fireflyは学習データを権利侵害のない範囲に限定し、3億点を超えるAdobe Stockのオリジナル素材やオープンライセンス、著作権が失効した素材などを活用しています(参照*5)。このように、権利管理の安全性を重視するサービスが増えており、ユーザーはAI利用時に安心感を得やすくなっています。

Canvaは生成AIで作成したイラストの著作権をユーザーに帰属させる方針を明示する一方、他人の著作物を許諾なく取り込む行為を厳格に禁止しています(参照*6)。Stable Diffusionは、通常モデルでは商用利用が可能ですが、SDXLやTurboなどのバージョンでは月額20ドルのメンバーシップが必要な場合があります(参照*7)。OpenAIのDALL·EやMidjourney、Copilotなども商用利用を認めていますが、収益規模によるプラン指定や、生成画像の権利帰属に関する注意点が存在します(参照*7)。

権利帰属の整理

商用利用では、画像生成AIで作成した作品が誰の所有物となるのか、契約条件を正確に把握することが重要です。OpenAIのDALL·Eは、規約の範囲内で生成画像の所有権をユーザーに譲渡する方針を明示しています(参照*7)。ただし、政治的プロパガンダや暴力的表現などの生成は禁止されており、OpenAIはそうした出力に関して責任を負わない免責も設けています。

Copilotなどエンタープライズ向けAIサービスでは、企業保護のための訴訟リスク軽減条項を設ける場合もあります。ユーザーが生成AIで創作したものが第三者の権利を侵害する可能性がある場合、契約上の責任分担がどこまで明記されているかを確認する必要があります。権利帰属と免責事項のバランスはサービスごとに異なるため、利用目的や規模に合った選択が求められます。利用規約を漫然と受け入れるのではなく、どの範囲まで自由に活用できるかを把握することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

リスク回避と実務対応

この章では、画像生成AIを商用利用する際に必要なリスク回避策と、具体的な実務対応の進め方について解説します。トラブルを未然に防ぐスキルは今後ますます重要となります。

事前チェックの手順

まず、利用する画像生成AIのライセンスや利用規約を十分に確認することが重要です。商用利用が認められている代表的なAIとして、Midjourney、Adobe Firefly、Stable Diffusion Online、DALL·E 3、Canvaなど合計12個のサービスが紹介されています(参照*8)。無料プランでも商用ライセンスが含まれる場合と、有料契約で追加の保証が得られる場合があるため、料金体系と使用範囲をしっかり把握しましょう。

また、過去には大手チェーンのSNSキャンペーンで、著作権フリーをうたった画像素材の出所に不備があったとして炎上した事例もあります(参照*4)。海外ではGetty ImagesがStability AIを訴えたほか、日本国内でもゲームサイトの背景画像が問題視されるなど、チェック不足によるトラブルが絶えません。事前チェックでは、生成AIが参照した素材の由来や権利状況が明確か、人物やキャラクターなど固有の権利を扱っていないかを一つひとつ確認することが大切です。

ガイドライン整備のポイント

企業内での運用ルールを明確にするには、自社のガイドラインを策定することが効果的です。日本では2024年4月にAI事業者ガイドラインが公表されるなど、政策面でもルール化が進んでいます(参照*2)。こうした外部指針も参考にしながら、画像生成AIを使った制作物のチェックフローや権利確認プロセスを社内規程としてまとめておくと、担当者間で認識を共有しやすくなります。

実務事例として、ヤッホーブルーイングは権利管理の不安を抱えつつも、長時間の承認フローを回避するため専用のクラウドサービスを導入しました(参照*3)。このように、実務上はスピードと安全性を両立する仕組みが求められ、企業規模や事業内容に応じた適切なガイドラインが必要です。加えて、万が一トラブルが発生した場合の連絡先や対応手順をあらかじめ規定しておくことで、問題が拡大する前に迅速な対処が可能となります。

おわりに

画像生成AIの商用利用は、クリエイティブ業務の効率化や新たな価値創造を促す一方で、著作権や契約条件、規制対応など多角的な配慮が求められる分野です。適切に取り扱わなければ、企業イメージや法的ステータスへの影響が大きくなる可能性があります。

本記事では、学習データの扱いから商用利用時の著作権、実務上のリスク回避やガイドライン整備のポイントまでを解説しました。これらを踏まえ、自社に合ったルール作りや定期的な見直しを行い、画像生成AIの可能性を最大限に引き出しながら、安全で安定した運用を目指しましょう。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、82万部(2025年3月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))

参照

ワークワンダースからのお知らせ

生成AIの最新動向をメルマガ【AI Insights】から配信しております。ぜひご登録ください

↓10秒で登録できます。↓