Cloud9の代替はどれが最適?主要クラウドIDE7選を徹底比較

2026.03.25

WorkWonders

Cloud9の代替はどれが最適?主要クラウドIDE7選を徹底比較

はじめに

AWSが提供してきたブラウザベースの開発環境Cloud9は、新規のお客様には提供されなくなりました。既存ユーザーは引き続き利用できるものの、今後の開発体制を見据えて代替となるクラウドIDEを把握しておく必要性が高まっています。

この記事では、Cloud9の特徴や新規提供終了の経緯を整理したうえで、代替として有力な7つのクラウドIDEを機能・価格・適性の面から比較します。自身の開発スタイルやチーム規模に合った選択肢を絞り込むための判断材料として活用してください。

AWS Cloud9とは何か――特徴と新規提供終了の背景

AWS Cloud9とは何か――特徴と新規提供終了の背景

Cloud9の主な機能と料金体系

Cloud9は、アマゾンウェブサービスが提供するブラウザベースのIDE(統合開発環境)です。JavaScript、Python、PHPなどの人気言語に必要なツールがあらかじめ用意されており、組み込みのターミナルも備えています。ブラウザさえあればどこからでもコードの編集や実行ができるため、ローカル環境の構築が不要になるのが大きな利点です。

料金は、Cloud9自体に追加料金が発生せず、開発環境で使用する計算リソースとストレージリソース(たとえばAmazon EC2インスタンスやAmazon EBSボリューム)のみを支払う仕組みです。環境をSSHで既存のLinuxサーバー(たとえばオンプレミスのサーバー)に接続することも、追加料金なしで可能です(参照*1)。

このように、Cloud9は「IDE利用料ゼロ、使ったインフラ分だけ課金」という構造になっています。利用を検討する際は、EC2のインスタンスタイプやEBSのボリュームサイズごとの料金を事前に確認しておくとよいでしょう。

新規顧客向け提供終了の経緯と既存ユーザーへの影響

Cloud9は、新規のお客様には提供されなくなりました。一方で、既存のお客様は通常どおりサービスを継続して利用できます(参照*1)。つまり、これからAWSアカウントを作ってCloud9を始めようとしても利用開始できないという状況です。

この新規アクセス終了の決定が、多くの組織にとって代替のクラウド開発環境を評価するきっかけとなりました(参照*2)。既存ユーザーであっても、今後を踏まえると、今のうちに移行先の候補を洗い出しておくことが現実的な対策といえます。

チーム内で新しいメンバーが加わった場合にCloud9を使えないという運用上の不整合も生じるため、チーム全体で統一できる代替環境の検討を進めておくことが求められます。

Cloud9の代替を検討すべき理由

Cloud9の代替を検討すべき理由

AWSロックインとエコシステム外での制約

Cloud9を使い続けるうえでの論点は、AWSへの依存度です。AWSエコシステムの外で作業している場合には理想的ではない、また、より軽量でカスタマイズ性の高い環境を好む開発者にとっては操作感が合わないケースもある、と指摘されています(参照*2)。

たとえば、Google CloudやAzureを主なインフラとしているプロジェクトでは、Cloud9との連携に追加の設定が必要になることがあります。マルチクラウドやオンプレミスとの併用を前提とする場合は、特定のクラウドに縛られない代替IDEを選択肢に加えておくと、環境の柔軟性を維持しやすくなります。

コスト・AI支援・コラボレーション面の課題

Cloud9は、AWS Free Tierの対象であれば無料で利用できる一方で、AWS EC2の価格設定に結びついており、使い方によっては費用がかさむことがあります。リアルタイムの共同編集についても、他のプラットフォームのほうが優れた機能を提供している場合があります(参照*2)。

また、Cloud9には他の最新IDEで見られる高度なコーディング支援機能が欠けている、という指摘もあります。コード補完やバグの自動検出といったAI機能は、開発速度に直結する要素です。コスト・AI支援・共同作業の3つの観点で、現在の開発体制にどの程度の課題があるかを洗い出すことが、代替IDE選びの第一歩になります。

代替クラウドIDEを選ぶときの評価基準

代替クラウドIDEを選ぶときの評価基準

セキュリティ・コンプライアンスと自動化・標準化

代替IDEを選ぶ際には、セキュリティとコンプライアンスへの対応がまず確認すべき項目です。GitHub Codespacesは、組み込みのセキュリティ機能に加え、SOC 2やISO 27001といった業界標準への準拠を備えたクラウドベースのソリューションを提供しています。Gitpodは、組織が自社のインフラと機密データを完全に管理できる自己ホスト型のソリューションを提供し、データが組織の管理下に留まることで侵害のリスクを低減します(参照*2)。

開発環境の自動化と標準化も見逃せない評価軸です。Gitpodは開発環境のセットアップと設定を自動化するしくみを提供しており、手動設定の必要性を排除してエラーのリスクを低減します。すべての開発者が一貫した環境を利用できるため、生産性の向上とオンボーディング時間の短縮につながります。自社がどの水準のセキュリティ要件を満たす必要があるかを先に整理し、そのうえで自動化のレベルを比較する手順が効率的です。

コスト効率・言語サポート・CI/CD統合

コスト面では、無料枠の範囲と有料プランへの移行条件を事前に確認する必要があります。Cloud9はEC2などの課金体系に依存する構造でしたが、代替IDEには独自の料金プランを持つものが多く、利用時間やマシンスペックごとの価格体系が異なります。月額の見積もりを出すには、チーム人数と1日あたりの利用時間を掛け合わせた試算が欠かせません。

言語サポートの幅も比較基準になります。Cloud9自体がJavaScript、Python、PHPなど複数言語に対応していたように、代替IDEでも対応言語の数と、各言語へのデバッグ・補完の精度を確かめる必要があります。AIによるコーディング支援がすべてのスキルレベルの開発者にとって価値を増しているという指摘もあり、高度なAI機能が開発プロセスを加速し、繰り返しのコーディング作業を減らす可能性があります(参照*3)。CI/CD(継続的インテグレーション・継続的デリバリー)との統合の度合いもあわせて確認しておくと、導入後の運用設計がスムーズになります。

主要クラウドIDE 7選の特徴と強み

主要クラウドIDE 7選の特徴と強み

GitHub Codespaces――VS Code体験とGitHubネイティブ統合

GitHub Codespacesは、ブラウザ上でコードエディタVisual Studio Code(VS Code)の体験を提供するクラウドIDEです。あらかじめ構成された環境が用意されており、GitHubとのネイティブな統合を備えています(参照*2)。リポジトリを開くだけですぐにコーディングを始められるため、環境構築に時間を取られません。

セキュリティ面では、SOC 2やISO 27001への準拠を備える点もCloud9の代替として検討する材料になります。普段からVS Codeを使っている開発者であれば、拡張機能やショートカットをそのまま持ち込めるため、学習コストを抑えた移行が見込めます。

Gitpod――自動セットアップとセルフホスト対応

Gitpodは、GitHubやGitLabとのシームレスな統合を備えたクラウドベースの開発環境です。環境のセットアップと設定を自動化する仕組みにより、手動設定を排除してエラーを減らす設計になっています(参照*2)。

セルフホスト型のソリューションも用意されており、自社インフラ上で運用できるため、機密データを外部に出したくない組織にとって有力な選択肢です。新メンバーが加わるたびに環境をゼロから構築する手間を省きたいチームは、Gitpodの自動化機能を確認してみてください。

Replit――50以上の言語とAI Ghostwriter

Replitは、ローカルに何もインストールせずにコードを書き、実行し、デプロイできるブラウザベースのIDEです。50以上のプログラミング言語をサポートし、最初のコーディングから最終デプロイまでのシームレスな体験を提供します(参照*3)。

AI Ghostwriterと呼ばれるコーディング支援機能が組み込まれている点が特徴で、コード補完や提案をリアルタイムで受けられます。ただし、エンタープライズレベルのアプリケーションでは、現在の提供範囲よりも堅牢なインフラと高度なデプロイ機能が必要になる場合がある点は考慮に入れてください。

Coder――自己ホスト型でエンタープライズ向けのセキュリティ

Coderは、自己ホスト型とクラウドの両方のオプションを持つ開発環境です。Dockerベースの開発環境をセキュアかつスケーラブルに運用でき、AWSインフラとの連携にも対応しています。高度なカスタマイズとセキュリティを強みとしています(参照*2)。

一方、セットアップにはDevOpsの知識が必要とされるため、専任のインフラ担当がいないチームにはハードルが高くなります。エンタープライズ規模で厳格なセキュリティポリシーを適用しつつ、開発者ごとの環境を細かく制御したい場合に向いています。

JetBrains Fleet/Space――リモート開発とチーム統合管理

JetBrains Fleetは、Cloud9のブラウザベースIDEとは異なる設計思想を持っています。ポータブルな開発のために構築されており、リモート環境にアタッチしながら高速でモダンなIDE体験を維持します。具体的な差別化要因は、別のマシン上に存在するコードを操作するためのリモート開発ワークフローです(参照*4)。

JetBrains Spaceと組み合わせることで、チーム全体のプロジェクト管理やコードレビュー、CI/CDパイプラインを一元的に扱えます。すでにIntelliJ IDEAやPyCharmなどJetBrains製品を使っているチームであれば、ツールチェーンの統一がしやすくなります。

Glitch――即時デプロイとコミュニティ共有

Glitchは、コードを書いたその場で即時にデプロイできる手軽さが特徴のブラウザベースIDEです。作成したアプリをコミュニティ上で公開し、他のユーザーがそのプロジェクトを複製して改変する「リミックス」の文化が根付いています。

学習目的やプロトタイプの共有に適しています。ただし、AI支援機能が搭載されていない点やオフラインでの利用に対応していない点は、Cloud9からの代替として検討する際に確認しておくべき項目です(参照*2)。

AWS公式の代替手段――code-server+CloudFormationとKiro IDE

AWS自身も、Cloud9に代わる開発環境の構成例を公開しています。ブラウザベースのVS Codeをcode-server経由でAmazon CloudFrontから利用する方法や、Kiro CLIに事前設定されたMCPサーバーを備えた構成が紹介されています。オプションとしてデスクトップ環境をDCV経由で利用できるKiro IDEも用意されています(参照*5)。

この構成では、git-remote-s3を使ったGitバージョン管理とAmazon S3ストレージの連携や、AWS CodePipelineおよびAWS CodeBuildを用いた自動デプロイも組み込まれています。AWSのサービスを引き続き活用したい場合は、この公式サンプルをベースに環境を構築する方法も選択肢に入れてみてください。

7つのクラウドIDEを横断比較――機能・価格・適性の一覧

7つのクラウドIDEを横断比較――機能・価格・適性の一覧

主要機能の比較は、候補の絞り込みに役立ちます。以下の表は、リアルタイムの共同作業、AI支援、オフライン対応、無料枠の4項目で各IDEを整理したものです(対応状況はプランや構成により異なるため、導入前に各サービスで確認してください)。

機能 GitHub Codespaces Gitpod Replit Coder JetBrains Fleet/Space Glitch AWS公式構成
リアルタイム共同作業 要確認 要確認 要確認 要確認 要確認 要確認 構成による
AI支援 要確認 要確認 要確認 要確認 要確認 非対応 構成による
オフライン対応 要確認 要確認 要確認 要確認 要確認 非対応 構成による
無料枠 要確認 要確認 要確認 要確認 要確認 要確認 AWS利用料のみ

GitPodは、バージョン管理システムとの統合が強力で、リポジトリから直接環境を作成します(参照*3)。実運用では、必要な機能を先にリスト化し、各IDEのプランや構成と照合して候補を絞り込むのが現実的です。

ユースケース別の選び方と移行時の注意点

ユースケース別の選び方と移行時の注意点

ソロ開発者・小規模チーム・エンタープライズ別の推奨

ユースケースに応じて、適したクラウドIDEは変わります。ソロ開発者にはReplit、GitHub Codespacesが候補として挙げられています。小規模チームにはJetBrains Spaceが設計からコードへの効率性の面で適しているとされ、企業規模での利用にはCoderやGitHub Codespacesが挙げられています。予算を重視する場合は、ReplitとGlitchが寛大な無料枠を提供しています(参照*2)。

別の切り口では、学生や教育者にはGlitchの使いやすさとコミュニティサポートが適しています。スタートアップや小規模チームにはGitpodのチーム機能と成長性が合い、エンタープライズにはGitpodのコンプライアンス機能とエンタープライズサポートが候補に上がります(参照*3)。自身の開発規模、予算、セキュリティ要件を軸に、無料トライアルで操作感を確かめてから判断するのが堅実な進め方です。

Cloud9からの移行で押さえるべきポイント

Cloud9からの移行で最初に確認すべきは、AWSサービスへのアクセス方法の引き継ぎです。Cloud9ではAWSマネージド一時認証情報を使ってAWSサービスに接続できますが、この機能をオフにすると環境からAWSサービスへアクセスできなくなります。代替手段として、EC2インスタンスにインスタンスプロファイルをアタッチする方法や、環境変数の設定またはaws configureコマンドで永続的なアクセス認証情報を保存する方法が示されています(参照*6)。

移行先のIDEでAWSリソースを引き続き操作する場合は、同様の認証設定を新環境側でも再現する必要があります。プロジェクトの設定ファイル、環境変数、拡張機能の一覧をCloud9上でエクスポートまたは記録し、新しいIDEへ反映させる手順を事前にまとめておくと、移行後の動作確認を効率的に進められます。

おわりに

Cloud9の新規提供が終了した今、代替となるクラウドIDEの選択は将来の開発効率を左右する判断になります。セキュリティ要件、コスト、AI支援、チーム規模という4つの軸で候補を絞り込むことが、失敗の少ない移行につながります。

まずは無料枠やトライアルを活用して実際の操作感を試し、現行のCloud9環境で使っているAWSサービスとの連携が問題なく再現できるかを検証してみてください。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、82万部(2025年3月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))

参照

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