専門家と実務担当者の記事が評価される4つの理由、E-E-A-Tで読み解く

2026.08.09

WorkWonders

専門家と実務担当者の記事が評価される4つの理由、E-E-A-Tで読み解く

この記事のまとめ

専門家や実務担当者が書いた記事が評価される理由は、読み手と検索の両方から見た「信頼できる中身」を備えているからです。書き手が持つ経験や知識、第三者からの評価、そして情報の出し方の透明さがそろうことで、記事の価値は大きく変わります。ポイントを整理します。

  • 信頼性は「信頼できるか」と「詳しいか」の2つでできています。
  • 検索の評価軸である E-E-A-T は、経験・専門性・権威性・信頼性の4つで組み立てられています。
  • 専門家や実務担当者の記事は、一次体験と検証、第三者評価、透明性の4点で強みを持ちます。
  • 著者情報の明示、出典の提示、社内の専門家との連携が実践の要になります。

「記事が評価される」とはどういうことか

「記事が評価される」とはどういうことか

読者評価と検索評価の二つの軸

記事の評価は、読者の受け止め方と検索エンジンの判断という、2つの軸で見ていくと分かりやすくなります。この2つは別々に動いているようで、実は同じ方向を向いています。

読者側の評価は、書き手が信頼できて詳しいかどうかで決まる部分が大きいです。信頼性は「善意があり、正直で、偏っていないこと」で表され、専門性は「知識があり、経験があり、能力があること」で表されます(参照*1)。オンラインの口コミを扱った20本の研究をまとめた分析では、書き手の専門性、信頼性、読者との近さが、情報の役立ち度や信頼度、購買の意向、情報の受け入れに大きく影響しました(参照*2)。

つまり、読者は記事そのものだけでなく、誰がどんな立場で書いたのかを合わせて見ています。検索側の評価も、この読者の見方に沿う形で作られてきました。書き手の属性が伝わるように整えることが、両方の軸を満たす近道です。私自身、15年近くコンテンツを発信してきた経験から言えば、「誰が書いたか」の情報は、記事の中身と同じくらい読者の受け止めを左右します。

信頼性を構成する2大要素

信頼性は、大きく分けて2つの柱で組み立てられます。

Fogg と Tseng の研究では、信頼性は「信頼できること」と「専門性」という2つの要素で成り立つと整理されました。多くの研究者も、人はこの2つを使って信頼性を判断すると考えています(参照*3)。ここでの「信頼できること」は誠実さや偏りのなさを指し、「専門性」は知識や経験、能力を指します(参照*1)。

この2軸は、記事の評価を考えるときの土台になります。片方だけが強くても、読者の信頼はなかなか積み上がりません。両方をそろえて示すことが、専門家や実務担当者の記事が支持される出発点になります。

E-E-A-Tで読み解く評価の枠組み

E-E-A-Tで読み解く評価の枠組み

E-E-A-Tの4要素の定義

検索側の評価軸として広く使われているのが E-E-A-T という考え方です。

もともとは E-A-T と呼ばれ、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)の3つで組み立てられていました。2022年12月に Google はこの略称を E-E-A-T に更新し、頭に経験(Experience)を加えました。あわせて、この4つの中で「信頼性(T)」がもっとも大切な要素だと示されました(参照*4)。

この定義は、記事を作る側にとって分かりやすい設計図になります。書き手が自分で試したこと、身につけた知識、外からの評価、そして情報の出し方の透明さを、それぞれ意識して整えることが評価の入り口です。逆に言えば、どれか一つが欠けても評価の柱は傾く、という構造でもあります。

YMYL領域で高まる重要性

お金や健康など、人生に大きく関わるテーマでは、E-E-A-T の見られ方がとくに強くなります。

Google の品質評価ガイドラインでは、評価を担当する Quality Rater が、ページに「専門性、経験、権威性、信頼性、関連性」の目印があるかを見ながら検索結果を評価します(参照*5)。

こうしたテーマの記事では、書き手が本当にその分野の人なのか、根拠がしっかりしているかが、より厳しく見られます。専門家や実務担当者が前に出る意味は、ここでも大きくなります。

品質評価ガイドラインとの関係

E-E-A-T は、Google の品質評価ガイドラインという文書に基づいた考え方です。

このガイドラインは176ページに及ぶ文書で、1万6千人を超える Quality Rater が、検索結果と表示されるページを評価するときの手引きになっています。評価者はページを見て、専門性、経験、権威性、信頼性、関連性といった目印を探します(参照*5)。

この枠組みは、記事の作り手にとっての「見られ方のチェックリスト」として使えます。書き手の背景、根拠、外部からの評価をひと目で分かる形にしておくことが、評価の下地になります。

専門家と実務担当者の記事が評価される4つの理由

専門家と実務担当者の記事が評価される4つの理由

理由1: 一次体験に基づく「経験」の厚み

専門家や実務担当者の記事は、実際に手を動かしてきた人ならではの経験が土台にあります。

E-E-A-T では、経験(Experience)が独立した要素として加えられました(参照*4)。企業のブランドではなく、そこにいる人と直接やり取りしたいという読者の傾向を示す調査もあります。Refine Labs の調査では、社員個人が LinkedIn に投稿すると、会社ページに比べてフォロワーは46%少ないのに、表示回数は2.75倍、反応は5倍になりました(参照*6)。

現場で得た体験は、他の記事では書けない具体を生みます。AIはネット上にある情報をまとめることは得意ですが、「この人だから知っている」という一回性の体験は再現できません。読者はその違いを、思っているより敏感に感じ取っています。経験の厚みはそのまま評価につながります。

理由2: 検証された「専門性」の裏付け

専門家や実務担当者の記事は、内容の正しさを確かめる仕組みと相性がよいです。

ジョージア大学の Extension が公開する専門家向け資料の作成手順では、各資料を少なくとも2名の教員査読者と1名の郡の Extension エージェントが最初に確認します。確認する項目は、内容の正確さ、読みやすさ、関連性の3点です(参照*7)。

こうした複数人での確認は、書き手一人の思い込みを減らします。専門家が書き、他の専門家が確かめる流れがあることで、記事の中身の信頼度は一段上がります。私が運営するメディアでも、社内の専門家に確認を依頼する工程を入れるだけで、記事の質に関する読者からの反応が明らかに変わりました。

理由3: 第三者評価による「権威性」

評価は、書き手自身の宣言だけでは決まりません。外からの評価がついて初めて権威性が形になります。

Edelman の2023年の Trust Barometer では、企業の技術専門家が、会社の中でも特に信頼される声の1つとされ、一般の従業員より上、科学者や研究者に近い位置にありました(参照*6)。オンラインでの信頼構築を扱った資料では、組織や記事、サービスに関わる専門性を前に出し、専門家や貢献者の資格をきちんと示すことが勧められています(参照*8)。

肩書きや所属、実績といった第三者から確認できる情報は、記事の説得力を大きく押し上げます。

理由4: 透明性が生む「信頼性」

4つ目の理由は、情報の出し方に透明さがあることです。

国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)の勧告では、科学的な仕事に対する社会の信頼と、公表された論文の信頼性は、著者の関係や活動が計画・実施・執筆・査読・編集・出版のそれぞれの段階でどれだけ透明に扱われるかに左右されるとしています(参照*9)。

誰が、どんな立場で、どんな利害の中で書いたのか。これらが見える記事は、読者にとっても検索エンジンにとっても評価しやすい形になります。

評価を裏付ける実証データと事例

評価を裏付ける実証データと事例

認識される著者属性が評価を左右する

読者は、書き手が誰かという情報を強く頼りにして中身を評価します。

心理的助言で AI と専門家の回答を比較した実験では、参加者が「これは専門家が書いた」と感じた回答を、実際の書き手が AI か専門家かに関係なく強く好み、その割合は93.55%に達しました(参照*10)。エンドーサー(推薦する発信者)を扱った研究では、発信者の年齢が信頼性の受け止め方に大きく影響し、年齢が上がるほど信頼性が高く感じられる一方、魅力の感じ方は下がるという結果が示されました(参照*11)。

読者は中身だけでなく、書き手の見え方も含めて記事を読みます。だからこそ、専門家や実務担当者の属性を分かりやすく伝えることが、評価に直結します。

エンドーサー研究に見る発信者の効果

発信者の力は、広告や情報発信の研究でも繰り返し確認されてきました。

Hovland らの古典的な研究では、発信者の専門性を「その人が正しい主張の出どころだと受け取られる度合いであり、持っている知識、経験、技能を指すもの」と説明しています(参照*12)。学生向けのクレジットカード広告を対象にした研究では、専門性、魅力、好意度がいずれも広告への態度を左右する要因となり、広告への態度、ブランドへの態度、購買意向の間の関係も裏づけられました(参照*13)。

記事でも同じ構図が働きます。誰が発信しているかが分かることで、読み進める姿勢や信じ方が変わります。

評価される記事を作るための実践ポイント

評価される記事を作るための実践ポイント

著者情報と経歴の明示

最初の実践は、著者の背景を分かる形で載せることです。

Mailchimp の資料は、関連する資格、経験、実績を丁寧にまとめた著者の紹介を用意し、必要に応じて職務経歴のプロフィールやポートフォリオへのリンクをつけることを勧めています(参照*14)。スタンフォード大学のウェブ信頼性ガイドラインは、組織内や記事、サービスに関わる専門性を前に出し、専門家や貢献者、サービス提供者の資格をきちんと示すことを勧めています(参照*15)。

名前と肩書きを添えるだけで、読者の受け止めは変わります。

出典・引用と事実確認の徹底

2つ目のポイントは、事実の裏づけを丁寧にそろえることです。

Mailchimp は、統計や研究の結果、専門家の意見を扱うときは、必ず信頼できる情報源を引用し、本文中のリンクや脚注で出典にすぐアクセスできるようにするべきだとしています(参照*14)。スタンフォード大学の研究を紹介した資料では、消費者の75%が企業のウェブサイトを見て、その会社の信頼性を判断していると報告されています(参照*16)。

出典の提示は、書き手の姿勢そのものを伝えます。読者は、根拠の見える記事に安心を感じます。

社内SMEを巻き込む編集体制

3つ目は、社内の専門家(SME)を編集の輪に入れることです。

Content Marketing Institute が公表した B2B 分野のマーケター向け調査では、コンテンツ制作で SME にアクセスすることが問題だと答えた回答者が3人に1人にのぼりました。同資料では、SME の多くは社内の担当者で、それぞれの本業で忙しく、価値が明らかでも執筆に必要な情報を十分に引き出すには長い時間がかかると紹介されています(参照*17)。

SME を早い段階から巻き込む仕組みを整えておくと、記事の中身と評価の両方が安定します。

評価を損なう落とし穴と回避策

評価を損なう落とし穴と回避策

評価を高める工夫と同じくらい、評価を落とす要因を避けることも大切です。ここでは代表的な落とし穴と、その避け方を整理します。

1つ目は、信頼の目印を装った情報源を見抜けない問題です。ある研究では、ウェブサイトの作り手が少ない手間で弱い信頼の目印を意図的に埋め込み、ユーザーの滞在時間や信用を得やすくできるとされました。同じ研究で、学生の90%が EPI(Economic Policy Institute)の資金提供元と、それがなぜ問題になり得るのかを見抜けませんでした(参照*18)。2016年のスタンフォード歴史教育グループの調査でも、対象となった多くの学生や教員が、オンライン情報の信頼性を見極めるのに苦労したことが報告されました(参照*19)。

2つ目は、AI生成コンテンツへの頼りすぎです。Mailchimp は、AI生成コンテンツそのものが間違いというわけではないとしつつ、人による適切な確認がないまま AIツールに頼りきると、本当の専門性や経験を欠いた、当たり障りのない浅い内容になりかねないと指摘しています(参照*14)。私もAIを使った文章生成を日常的に行っていますが、AIに下書きを作らせた後、専門家や実務担当者の目を通す工程を省くと、出来上がった文章は「読めるが薄い」ものになりがちです。見た目の完成度が高いほど、チェックが甘くなるという落とし穴もあります。

回避のポイントは、資金源や利害関係を明示し、AIを下書きに使う場合でも専門家や実務担当者の目を必ず通すことです。「AIで作った」ことよりも、「誰が責任を持って確認したか」が問われる時代になっています。書き手と編集者の双方が「誰の視点で書かれているか」を確かめる姿勢が、評価を守る土台になります。

おわりに

専門家や実務担当者の記事が評価されるのは、経験・専門性・権威性・信頼性という4つの柱が重なって立ち上がるからです。読者は書き手を見て中身を判断し、検索エンジンも同じ視点で品質評価ガイドラインに沿って記事を見ています。そして今後、AI検索が普及するほど、この傾向はさらに強まると私は見ています。AIが回答を生成するとき、引用する情報源として選ばれるのは、書き手の信頼性が明確に示されたコンテンツだからです。

評価を高める近道は、著者情報を明示し、出典を丁寧に示し、社内の専門家と一緒に作る体制を整えることです。これは手間のかかる作業ですが、広告費をかけられない状況でも始められる、インパクトの大きい施策でもあります。落とし穴を避ける姿勢と合わせて、書き手の姿が見える記事づくりを積み重ねていくことが、読者と検索の両方から評価される道です。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、95万部(2026年6月時点)を売り上げる。
(“2023年・2024年上半期に日本で一番売れたビジネス書”(トーハン調べ/日販調べ))

参照

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