Microsoft Copilot刷新の3本柱、Home・Code・Autopilotと課金の変化

2026.10.15

WorkWonders

Microsoft Copilot刷新の3本柱、Home・Code・Autopilotと課金の変化

この記事のまとめ

Microsoft Copilotの刷新は、アプリをHome・Code・Autopilotの3つのタブで再構築したことと、課金の仕組みを2本化した点が中心です。多くの機能は早期アクセスやプレビューの段階にとどまり、3機能すべての一般提供日は未発表となっています。今回の刷新について、本記事で整理する要点は4つです。

  • Homeは新たな作業の起点であり、対話型のChatと作業を委任するCoworkが1か所に集約されます。
  • Codeは自然言語の指示からアプリやダッシュボード、自動化を構築する機能で、GitHub Copilotと同じ基盤技術を活用します。
  • Autopilotは旧Scoutを刷新したデジタルチームメイトであり、テナント内に独自のID、メモリ、ワークスペースを保持します。
  • 課金は定額制のユーザーサブスクリプションライセンスと、Cowork・Code・Autopilotに適用される従量課金(使用量ベース)に分かれます。

Copilot刷新の全体像と狙い

Copilot刷新の全体像と狙い

今回の刷新は、Copilotアプリを3つのタブへと再構成し、チャットで回答を得る道具から仕事を進める作業環境へと進化させるものです。従来のチャット型AIアシスタントとの最大の違いは、「回答を返すだけ」ではなく「作業を引き受けて動き続ける」点にあります。

MicrosoftはHome、Code、Autopilotの3タブを中心に構成した新版Copilotアプリを発表しました。CEOのSatya Nadella氏はこれを過去最大のCopilotアップデートと位置づけ、LinkedInの投稿で「仕事のための新しいOS」と表現しています。ただし、公開された機能の多くはまだ一般利用できる段階にはなく、この点は導入を検討する企業が見落としがちなポイントです。

HomeはFrontier早期アクセスプログラムに参加する企業へ今後数週間以内に提供され、Codeは月末にFrontierで提供されたのち提供範囲が広がる見込みです。Autopilotは月末にプライベートプレビューへ移行します(参照*1)。

発表の狙いは、Copilotをオフィスワーカー向けのワンストップ環境へと進化させる点にあります。ロイターの報道によると、Microsoftは9月25日、コーディング支援機能や常時稼働型のAIエージェントをはじめとする複数の新機能をCopilotアプリに追加すると発表しました。

Word、Excel、PowerPointをCopilot内へ直接統合し、AIツールを離れることなく共同作業を可能にしています。ChatGPTやClaudeなどの競合AIチャットボットに対抗し、導入を促進するため、従来のチャット主体の枠組みを超えてCopilotの領域を拡大する方針です(参照*2)。私自身、ChatGPT・Claude・Geminiをほぼ毎日使い比べていますが、「作業ツールとしての統合度」という観点では、Microsoftのエコシステムはまだ優位性を保てる可能性があると感じています。

今回の再設計は、会話型アシスタントから、常時稼働エージェント、委任された作業、ユーザー主導のソフトウェア開発への移行と位置づけられています。あわせてMicrosoftは、Copilotで作成したアプリや自動化フローを安全に稼働させるIT部門向け管理環境「Copilot Managed Runtime」を導入します。さらに長時間のAIタスクに対応すべく、Microsoft IQや企業向けプラグイン、FinOps管理機能の拡充も進めています(参照*3)。

3本柱の中身

3本柱の中身

ChatとCoworkを束ねるHome

Homeは、性質の異なる2つの使い方を単一の入口に統合したタブです。

HomeはCopilotにおける新たな起点であり、ChatとCoworkが1か所に集約されています。業務が会議、チャット、文書、メール、各種アプリ、エージェント間を絶え間なく行き交うなか、Homeは状況を把握し、作業を前進させ続けるための拠点と位置づけられています。最新のアクティビティを確認し、Copilotからの提案を受け取りながら、中断した作業を再開できる設計です。

Chatは即応性の高い対話機能として、手軽な質問、検索、下書き作成、情報のキャッチアップに対応します。一方のCoworkは、作業そのものを委任するための機能です(参照*4)。

HomeではOfficeのコンテンツも直接扱えます。Office in Copilotは、Word、Excel、PowerPointの全機能をCopilot内に統合する仕組みです。

Home上でローンチ計画の下書き作成や予算のモデリング、スライド作成、チームが進行中のファイル再開などを指示すれば、実際に編集可能な文書、ブック、プレゼンテーションが作成・更新されます。会話と並行して内容を調整したり、チームメンバーへ@メンションしたりでき、CopilotとOfficeアプリの間で変更が同期されます(参照*4)。

一日の業務開始を円滑にする機能も予定されています。Todayは、メールや予定表、会議、タスクを集約し、その日に対応すべき重要項目を可視化する機能です。10月にCopilot上でプライベートプレビューとして提供が始まり、その後OutlookやTeamsにも順次展開される予定となっています(参照*5)。

一方で、こうした「起点を一か所に集約する」設計が実務で定着するかどうかは、使い勝手の問題だけではないと思います。私がコンサルティング会社で感じていたのは、「ツールが増えるより、ツールが減るほうが現場には歓迎される」という単純な事実です。Homeの発想はその方向に沿っており、理屈は正しい。ただ、実際に使えるようになるまでのプレビュー期間を、組織としてどう活用するかが問われます。

自然言語でつくるCode

Codeは、実現したい内容を言葉で伝えるだけで、Copilotが手法を選択して構築するタブです。

自然言語でアプリやトラッカー、ダッシュボード、自動化ワークフローを指示すると、Copilotが実装手順を定めて構築します。常時参照できるデスクトップウィジェットや、データ探索・検証に適した対話型ダッシュボード、チームで共有可能なクラウドホスト型の社内アプリなどを作成できます。

CodeはGitHub Copilotと同一の基盤技術を活用し、サンドボックス環境で安全に実行・ホストされる仕組みです。Microsoft IQにより、作成物は業務コンテキストを踏まえたものとなり、各種プラグインとも自動で連携します(参照*4)。

共通の基盤技術を用いながらも、GitHub Copilotとは対象ユーザーと実行環境が異なります。GitHub Copilotがプロの開発者を主体としているのに対し、Codeはリポジトリの維持管理ではなく、日々の業務課題の解決を目指す一般の従業員を対象としており、Microsoft Copilot内でエージェント型開発機能の一部を提供します(参照*3)。

主な利用対象者として想定されているのは、非エンジニア層です。CodeはGitHub Copilotの技術を土台としながら、プログラミング経験のない従業員でも社内の既存M365環境内で平易な言葉を使い、アプリや自動化スクリプトを作成できるよう設計されています。コーディング知識はないものの業務に特化したツールを必要とする、事業部門や財務部門などの「市民開発者」が主なターゲットです(参照*6)。

この点は生成AI導入支援の現場でも実感しています。多くの企業で「AIに何をさせるか」が決まらないまま、ツールだけが導入されるケースを見てきました。Codeが狙う「市民開発者」層は、業務知識は豊富でも言語化が苦手なことが多い。自然言語で指示できるとはいえ、何を作りたいかを明確に言葉にする力がなければ、期待通りのものは作れません。この壁をどう下げるかが、実際の普及を左右するでしょう。

常時稼働エージェントAutopilot

Autopilotは、個別の指示を待つことなく自律的に動き続ける同僚のような存在として設計されています。ただし「自律的に動く」ということは、裏を返せば「人間が気づかないところで処理が進む」ということでもあります。この点は、後述するコスト管理と権限管理の問題と不可分です。

Autopilotは、旧称Scoutを改称したデジタルチームメイトです。名称、役割、目的を設定すると、チャネルの監視やスレッドの追跡、定期業務の遂行、数日越しのプロジェクト再開などをこなします。ユーザーが毎回プロンプトを入力する必要はありません。

Autopilotはテナント内に固有のID、メモリ、実行環境、ワークスペースを保持し、Microsoft IQを基盤として組織の実際の働き方を理解する仕組みです。TeamsやOutlook、チャット、文書など普段の業務空間に常駐し、同僚のように@メンションで呼び出せます。こうした自律動作は、権限管理、監査、ガバナンス体制に支えられています(参照*4)。

エンタープライズ導入における統制のしやすさも、設計の中核に据えられています。Microsoftは6月に発表したScoutを刷新し、Autopilotとして月末にプライベートプレビューを開始する予定です。

このデジタルチームメイトは企業ディレクトリ内で独自のIDを持ち、ユーザーが管理できる特定の権限が付与されます。Copilot担当コーポレートバイスプレジデントのAnnie Pearl氏はインタビューにおいて、セキュリティやコンプライアンス、ガバナンスへの懸念から、多くの組織にとってAIエージェントの社内導入は極めてハードルが高かったと振り返っています(参照*2)。これは正直な認識だと思います。私が企業の生成AI導入支援をしていて感じるのも、まったく同じことです。技術的な難しさより、「誰が責任を持つか」「何かあったときに説明できるか」というガバナンスの問題が、導入を止める最大の要因になっています。

Microsoft IQとプラグインによる土台

3本柱を支える基盤として、業務データをCopilotに接続する仕組みと、拡張機能を一元管理する仕組みが用意されています。

Microsoft IQによるCopilotのグラウンディング(根拠づけ)機能も強化されています。Fabric IQの役割は、組織データの文脈をCopilotへと取り込むことです。Microsoftによると、Power BIには2,000万件を超えるセマンティックモデルが存在します。

現在、Fabric IQはChatおよびCowork向けに一般提供されており、Codeとの統合もFrontierを通じてまもなく提供予定です。また、自社製・パートナー製・カスタム製の各種プラグインを単一カタログに集約する新たなプラグインレジストリも展開中で、数週間以内に各サービスで一般提供されます(参照*7)。

課金の変化

課金の変化

定額と従量課金の線引き

課金体系は、定額で利用できる基本領域と、利用実績に応じて支払う従量課金領域の2つに整理されます。

Copilotユーザーサブスクリプションライセンス(USL)は、従来通りのユーザー単位による月額定額プランです。Copilot Chatをはじめ、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsの各Copilot機能が含まれます。ユーザーは利用するモデルを任意に選択でき、OpenAIのGPT-5.6やClaude Sonnet 5が利用可能で、AnthropicのOpus 5も制限付きで含まれます(参照*1)。

他方で、エージェントによる作業は別の課金方式の対象です。Microsoftは自律的なエージェント作業には異なる支出モデルがふさわしいとし、使用量ベース課金(UBB)を採用することでモデルを柔軟に選び、創出価値に応じたコスト管理が可能になると説明しています。長時間自律稼働するCowork、Code、Autopilotといった新機能や、Astra、Fableなどの最先端フロンティアモデルは、すべてUBBの対象となります(参照*4)。

利用コストの算出基準も示されています。標準的な従量課金体系において、Copilot Credit 1単位の価格は1セントです。シンプルに見えますが、実際の業務での消費量が見通しにくい点が、IT管理者にとっての悩みどころになるでしょう。

タスク実行時に消費されるクレジット数は、稼働モデル、参照する社内データ量、呼び出すツールの数、処理時間などにより変動します。Reworkedは、ユーザーがログオフした後もAutopilotがバックグラウンドで処理を継続できる点を挙げ、将来的に想定外の請求が発生するリスクを指摘しています(参照*1)。これは見過ごしてはいけない論点です。生成AI事業を運営する立場で言えば、従量課金は「使った分だけ払う」という合理性がある一方、変動幅を事前に把握しにくい構造でもあります。全社展開の前に、小さなグループで実際の消費量を観察する期間を設けることを強くお勧めします。

支出管理とFinOpsの仕組み

従量課金の導入に伴い、管理者とユーザー双方が利用コストを可視化・制御できる仕組みが用意されています。

エンタープライズ顧客の場合、管理者がMicrosoft 365管理センターで支出ポリシーを設定するまで使用量ベースのサービスは無効化されており、それまでは課金が発生しません。管理者はテナントやグループ単位で予算枠を設定し、グループポリシーを通じてユーザー単位の上限を設定できるほか、しきい値に応じたアラートも設定可能です。さらにMicrosoft Graph APIを用いたプログラムによるポリシー管理にも対応可能です。

Agent 365のコスト管理はCoworkやWork IQ APIだけでなく、CodeやCopilot Managed Runtimeへと対象を広げており、Copilot Studioエージェントへの対応も2026年10月に予定されています。またエンドユーザー側も、Microsoft Copilot上でクレジットの消費量や残高、利用履歴を直接確認できます(参照*7)。

2つの課金体系を併用する狙いについても同社は言及しています。第1のサブスクリプション方式は、基盤モデルが進化を続けても価格を据え置き、1人あたり予見性の高い料金で広範な利用を支える仕組みです。

第2の使用量ベース課金(UBB)は、利用者数ではなく実際に処理された作業量に連動します。長時間稼働するジョブはリソース変動が大きく、定額制ではカバーしきれないことが理由として挙げられています(参照*8)。

提供時期と導入前の注意点

提供時期と導入前の注意点

段階的な展開スケジュール

機能提供は一斉に行われるのではなく、早期アクセスや各種プレビューを通じて段階的に拡大されます。

CodeはすでにFrontier早期アクセスプログラムの限定顧客向けに提供が始まっており、月末には同プログラム内で対象を広げ、数週間以内の一般提供が予定されています。Microsoft 365 PremiumおよびPro加入者向けプレビューは今年後半の予定です。Autopilotは月末にプライベートプレビューへ移行し、Copilot内のOffice機能も数週間以内に一般コンシューマーおよびFrontierユーザー向けに順次提供されます(参照*9)。

全体の一般提供時期は未確定です。HomeとCodeは今後数週間でMicrosoft Frontier加入者向けに順次展開され、Autopilotのプライベートプレビューは月末に始まります。gagadgetは、3機能すべてが揃う一般提供の開始日はまだ公表されておらず、有力な発表の場として11月のIgniteが考えられるとの見解を示しました(参照*6)。

Copilot関連の続報が期待される年次イベント「Microsoft Ignite」は、2026年11月17日から20日にかけてサンフランシスコおよびオンラインで開催されます(参照*7)。

権限とコストの確認事項

本格導入に向けて浮上している重要な論点は、アクセス権限の棚卸しと支出上限の設定です。どちらも「後から対処する」では手遅れになりやすい性質の問題です。

gagadgetは、課金体系の分離が実務上のコスト管理に直結すると警鐘を鳴らしています。同メディアによると、IT部門や調達部門は従業員へエージェントの利用権を解放する前に支出上限を明確に定める必要があり、怠れば予期せぬ請求に直面するリスクがあるとの指摘です。

もう一つの論点はCodeの権限管理上のリスクです。Copilotは既存のM365アクセス権限をそのまま継承するため、過剰な権限を持つ社員が存在する場合、その社員に代わって動くAIを通じて機密データが意図せず露出しかねません。事前のアクセス監査は必須の取り組みです(参照*6)。この問題は、Copilotだけの話ではありません。エージェント型AIを導入する企業全般に共通する課題です。人間のIDとAIエージェントのIDを明確に切り分け、それぞれに必要最小限の権限を割り当てる設計が求められます。

コストの透明性についても論点は同様です。IT-Connectは、通常のアシスタント業務を定額ライセンスが担い、自律型AIエージェントの稼働はクレジット消費による従量課金となるモデルだと整理しています。そのためIT管理者にとっては、AutopilotやCoworkの利用状況に応じて請求額が変動するため、利用を全社に広げる前に支出ポリシーを策定するよう推奨しています(参照*5)。

権限の継承という課題は、Copilotにとどまらずエージェント型AI全般の重要論点として議論されています。OECDの報告書が提起したのは、エージェント型AIシステムが人間の利用者と同等のアクセス権をそのまま引き継ぐことへの懸念です。

従来の静的なアクセス制御手法は、データベースや社内基幹システム、外部APIを横断しながら人間の最小限の介入で自律行動を連鎖させるエージェントを制御する仕組みとして十分ではありません。複数の組織が、人間のIDとAIエージェントのIDを明確に切り分け、それぞれに最適化された権限レベルを割り当てる必要性を訴えています(参照*10)。

おわりに

今回のCopilot刷新は、Home・Code・Autopilotの3タブへの再構築と、定額ライセンスおよび使用量ベース課金(従量課金)の併用という2つの大きな変化が要点です。Homeは対話と作業委任の窓口を集約し、Codeは言葉による指示からアプリや自動化を形にし、Autopilotはテナント内で独立したIDを持つデジタルチームメイトとして稼働します。構想そのものは理にかなっており、ChatGPTやClaudeとの競合を意識した設計だと見ています。

提供はFrontierプログラムやプライベートプレビューから段階的に進められており、3機能すべてが揃う一般提供の開始日はまだ正式発表されていません。組織への導入を検討するにあたっては、M365におけるアクセス権限の棚卸しと、支出ポリシーや利用上限の適切な設定が不可欠です。私が生成AI導入支援で繰り返し見てきたのは、「便利そうだから全社展開」→「想定外の問題が出て止まる」というパターンです。今回の刷新も、まずは小規模なグループで権限・コスト・品質の三点を観察してから広げるアプローチが現実的だと思います。

監修者

安達裕哉(あだち ゆうや)

デロイト トーマツ コンサルティングにて品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事しその後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのち2013年5月にwebマーケティング、コンテンツ制作を行う「ティネクト株式会社」を設立。ビジネスメディア「Books&Apps」を運営。
2023年7月に生成AIコンサルティング、およびAIメディア運営を行う「ワークワンダース株式会社」を設立。ICJ2号ファンドによる調達を実施(1.3億円)。
著書「頭のいい人が話す前に考えていること」 が、95万部(2026年6月時点)を売り上げる。
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参照

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