GSRベンチャーズのマネージングディレクターであるチュウ氏は、主に東アジア市場でユニコーン企業と呼ばれるスタートアップの発掘と資金提供を行っています。これらユニコーン企業とは、企業価値が10億USドル以上の新興企業のことを指し、チュウ氏はそうした企業に早期から投資を行ったことで知られています。特に、日本のタクシー配車サービス大手のディディ・チューシンへの投資で名を馳せました。
しかし、チュウ氏は最近のインタビューで、自らは昨年、中国本土でLLM(大規模言語モデル)に焦点を当てた企業への投資は行っていないと述べています。
彼は、「即座に商業化できるアプリケーションこそ信じている」とし、現行のビジネスモデルではデータや関連するアプリケーションのシナリオがないため、LLMスタートアップへの投資には懐疑的です。中国では、政府が承認したLLMを含むAI関連アプリケーションが40以上存在する一方で、市場には200以上の中国開発のLLMがあるとも指摘されています。
これに対し、バイドゥの共同創立者であり、会長兼CEOのリー・ヤンホンも、LLMの繰り返し登場を「資源の大きな無駄遣い」と評しています。
GSRの焦点が商業化に置かれているため、中国本土の起業家はAI開発プロジェクトのための資金調達に苦しむことになります。これにより、スタートアップ会社のアドバイザーであるLu Zhiwu教授は、「お金の稼ぎ方やビッグテックに勝つ方法を常に尋ねられる」と投資家への苦悩を語っています。これは、先端技術への投資がオープンマインドであり、技術への信念が求められるという立場からも困難となっています。
出典 : https://www.scmp.com/tech/tech-trends/article/3254560/chinese-venture-capitalist-allen-zhu-steers-clear-mainland-tech-firms-ai-large-language-model-frenzy