最近のAI製品、特にOpenAI社が開発したChatGPTのようなジェネラティブAIアプリケーションは大きな注目と投資を集めています。しかし、これらのAIが本当に私たちの問題を解決するのか疑問が持たれています。テクノロジー評論家エフゲニー・モロゾフが提唱する「テクノロジー・ソリューショニズム」とは、複雑な問題を単純なエンジニアリングの問題に還元して解決しようとする誤った信念です。
たとえば、人気のないテレビ番組の新しいエンディングをAIが作り直すことができたとしても、共有された会話の価値が失われてしまう可能性があります。また、法執行機関がメタバースを法執行の採用問題のソリューションとして推進しているニュースもありますが、これもまた問題の本質を見落としています。
AIが教育や医療などの分野で前進している一方で、学校でのチートや、AIによって引き起こされる可能性のある医療費の増加など、新たな問題が出てきています。これらの問題に答えを出すのにAIはうってつけではなさそうです。また、AIを使って労働生産性を上げることは可能ですが、競争が激化すればするほど、より多くの労働が求められるようになるかもしれません。
言われてみればAIは、規定の問題を解決し、生産性を上げるというよりも、新たな問題を引き起こすきっかけになることがあります。AIの有効な利用方法を見極めることが、テクノロジーの正しい進歩には必要なのです。
出典 : The Delusion at the Center of the A.I. Boom https://source.washu.edu/news_clip/the-delusion-at-the-center-of-the-a-i-boom/